台湾有事

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台湾有事の勃発可能性について、一般ニュースでも言及されることが増えてきたように思う。

中国政府は核心的利益について、(1)国家主権、(2)国家の安全、(3)領土保全、(4)国家の統一、(5)国家の政治制度と社会の対極の安定、(6)経済・社会の持続的発展への基本的な保障、に関わるものと定義した。

核心的利益にはチベットや新疆の独立問題、台湾、南シナ海、尖閣諸島も含まれるとされる。

中国がなぜそこまでして台湾を狙うのかと言えば言わずもがなだが、台湾が太平洋へのフタをしているということだ。もっというと台湾を含む第一列島線全体が中国が太平洋へ出るのを妨げるように位置している。だからこそ中国は第一列島線より中国側の海をできれば完全に支配下に置いて、中国にとっての内海のようにしたいのである。特に台湾周辺の海域を完全に中国の領海にしてしまわないと、中国は大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射できる原子力潜水艦を太平洋全域に就航させることが難しいのである。潜水艦を太平洋に出せないと、世界覇権をめぐってアメリカと互角に勝負する入口に立つことすらできない。

逆に言えば、中国は敵対する勢力を第一列島線より内側(中国側)へ入れないための接近阻止戦略を組み立てていると言われる。これを接近阻止/領域拒否(A2/AD)能力の構築、ともいう。そのために中国はDF-26(射程約4000キロメートル、グアムキラー)、DFー21D(射程約1500~2000キロメートル、空母キラー)などのミサイルを配備している。これにより米軍の空母は台湾近海に近づきにくくなったとも言われる。

中国の軍備としては他にも、空母はロシアから入手した「遼寧」に次いで国産1隻目の「山東」を運用試験中で、国産2隻目を建造中とも言われる。またJ-10C、J-16、J-20戦闘機の増強も進めており、注目される。特にJ-20は米軍のF35と同様の第5世代戦闘機と言われ、ステルス性能を有していると言われる。

習近平が2027年までに台湾進攻ができるよう軍備を整えるように指示した、との観測も出ている。

アメリカももちろん最大限の危機感を持って、台湾有事の様々なシミュレーションを行いながら臨戦態勢の手筈を整えていることと思うが、米軍が人民解放軍を圧倒できるかどうかは分からない。東シナ海においては、人民解放軍の軍事力の方が米軍を上回っているとの観測も出ている。

そもそも中国には超限戦という考え方があり、ミサイルを打ち合うようないわゆる熱戦以外にも、情報戦や金融戦など様々な手段の総合で攻めてくることが予想され、ある意味ではもう戦争は始まっていると考える識者も多い。

しかし猛烈な勢いで軍拡を進める中国にとっても、もちろん台湾進攻は簡単に始められる作戦ではないだろう。ある領土を攻める側は、その領土を守る側に比べて3倍以上の兵力が必要とも言われる。

実際に戦闘が始まったら、空軍同士の戦いを優位に進めて制空権を確保したうえで、人民解放軍が台湾との間を何の支障もなく行き来できるような状態になるまで、海軍が台湾海峡を支配し、さらには台湾島を取り囲むほどに軍を展開する必要があるだろう。米軍は後方支援に徹する可能性もあるが、前線まで出てきて闘う可能性も高いと思われる。ここまでの戦いを、米軍の空軍と海軍を相手に有利に展開できるだろうか?

そして制空権と制海権を制した後でなお、台湾島を占領するためには十分な陸軍を送り込まないといけないのだ。


参照、引用元:
「台湾有事のシナリオ」森本敏、小原凡司著 ミネルヴァ書房

 







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