24年10月

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24.10.6 長妻昭講演会

長妻昭さんの講演会に行ってきました。中野セントラルパークの地下1階のホールでの開催でした。近所なのですが、こんなところにホールがあるとは、初めて知りました。

最初は政治アナリストの伊藤惇夫氏という方の講演でした。とにかく自民党の裏金問題は質が悪い。石破新政権も、裏金の処理をウヤムヤにしている。来る衆院選で、立憲民主党による政権交代を成し遂げなければならない、という論調でした。

個人的には、後半の長妻昭さんご本人の講演の方が印象的に感じられました。長妻さんも、自民党の裏金問題は大変質の悪い問題だと考えておられるようで、企業献金は全面的に廃止しないといけないと考えておられるとのこと。ご自身も、企業献金は一切受け取っておられないそうです。

例えば近年、介護事業者の事業者報酬が削られる、という事案があったのだそうです。長妻さんが調査したところ、財務省が厚労省予算を審査するときに、どうしてもあと数千億円?ほど削らないといけない事態が生じた。医師会からは莫大な政治献金が施されているので、医療費を削るわけにはいかない、製薬業界からも莫大な献金があるので、薬価を削るわけにはいかない、そこで、ほとんど献金のない介護業界が狙われた、ということなのです。社会的に必要なところに必要な予算を割り当てるのが筋なのに、なんで献金で政策の優先順位が歪められないといけないのか?と大変憤っておられるようでした。

立憲民主党自体も、何とか政権奪還するべく、党内では熱い議論を繰り返している、とのことでした。子ども手当も、最初は民主党政権でやり始めたことなのだそうです。それなのに、自民党はさも自分たちの政策のように宣伝している。高校教育の無償化も、民主党政権で着手したことなのだそうです。それらの社会福祉的な意味合いが強い政策も、企業献金をほとんど意識しない形で政権運営していたからこそ、できたことなのだそうです。何とかもう一度、そういう政治を取り戻したいとのことでした。

しかし私は、聞きながら色々な疑問がありました。企業献金によって福祉政策が後回しになるのはよくないけど、例えばIT企業をこれから大きく育てないといけないというときに、IT企業の政治的関心の高い経営者が献金を申し込んでこられたら丁重にそれを受け取って、IT業界と密なコミュニケーションを図って、IT業界にとって都合のいい政策を打っていく、それはあって然るべきことだと思うのです。ただでさえ日本の企業の世界的競争力は落ちていると言われているのに、産業界と政界が積極的に協力しなくてどうするのか?と思うのですが。

それに、会場から、「30年間、日本はGDPが横ばいで成長していないと言われているのに、その状況を放置している自民党がなんで政権を握り続けているのか」という質問があったのですが、一見もっともな質問のようですが、自民党サイドのリアリズム視点で見ればその理由は明白なことのように思えます。先述のように、長年献金を受け取り続けて、財界と綿密な関係を築いているのは自民党です。立憲民主党が政権を取ったら、財界も、経団連も、どうやって政界とコンタクトを取っていいか悩むかもしれません。財界の望む政策がほとんど通らないとなったら、日本のGDPは横ばいどころか、もっと落ちるかもしれないのです。

それに、何と言ってもアメリカとの関係性だと思います。鳩山政権の時に沖縄政策で迷走してアメリカの信頼を損ねた、それは民主党系の議員の信頼度を大きく損ねていると思います。今度政権を取った時に、対米関係を良好に維持できるのか、そこを有権者は不安視していると思います。「対米関係はこうすれば絶対安定する!」という、何らかの声明を出すべきじゃないでしょうか?

それに、自民党政権ですら増税の気配で支持率を落としたのに、立憲民主党はもっと危ないと思います。消費税増税は民主党の野田政権の時に下地が築かれていたと思います。立憲民主党は増税するのではないか?その疑いは持たれていると思います。分厚い福祉政策をやりたいのであれば、当然のことながらそれは財源論とセットになるはずです。消費税を上げるのか?上げないなら他に、何の税金を上げるのか?上げないのか?増税するのであれば、福祉がどう充実するのか?分かりやすく明確に説明するべきだと思います。今のところ、消費税の一部を還付するような政策を考えておられるようですが、どうも分かりにくい印象に感じました。


24.10.26 総選挙に思うこと

衆議院議員総選挙の投開票前の最終日、都内はどこの駅前も、立候補者たちの演説、応援者の演説であふれかえっています。

政治ブロガーとしては失格かもしれませんが、私は通りがかりに見かけた演説、じっくり聞くことはほとんどありませんでした。そのときたまたま急いでいたとか、単に面倒くさかったというのもありますが、なんとなくどの候補者の演説を聞いてもそこまで期待できないような気がしたんです。大の大人が必死に演説したり、必死に応援してる様子を見ると、全身の血がザワザワするような、政治特有の興奮感は少しはありますけどね。

一応言い訳をすると、政治に普段から興味のない人がシラケて選挙をスルーしてるするのとは違って、私の中にシラケ感があるのは、今回の総選挙に大義名分が伴っていないからだと思います。そんなこと言うと、そもそも「大義名分を伴う選挙がどれだけあるんだよ」と突っ込まれるかもしれませんが・・・ちゃんとした大義名分を伴う選挙は、全体の選挙のうち2,3割あるかどうか?じゃないでしょうか?ほとんどの選挙は、大義名分があるのかどうかよくわからない、見た目の熱気とは裏腹に、フワッとした選挙なのかもしれません。

今回の選挙は、自民党のスケジュール合わせ、地盤固めのための選挙です。これも、「ほとんどの選挙がそうだろ」と突っ込まれるかもしれませんが・・・

今回の選挙に何か大きなことが伴うかどうかと言えば、そういう選挙の内容を有権者に見透かされて、自民党が大きく議席を減らすかもしれない、ということぐらいですかね・・・

裏金問題が大きく騒がれた後の、自民党のみそぎ選挙とも言われていますが、私はそもそも個人的には、裏金問題が突出して大きな問題だとは思っていません。

とにかくひたすら、経済の問題、安全保障の問題、財政運営の問題などにおいて、政治家さんたちには議論を戦わせてほしいと思っているのですが、矮小化された話題ばかりが踊っているように思えます。そこがついシラケ気分になってしまうゆえんだと思います。


24.10.26 選挙運動を見学して

たまたま選挙運動を見学する機会がありました。あまり具体的なことは書かない方がいいと思いますが・・・

長時間見学しているとそれなりに疲れましたが、またそれなりに興味深いこともありました。駅前の演説なりビラ配りですが、政党間に紳士協定があって、駅前の東口サイドは9:00~10:30まで自民党さん、10:30~12:00までは立憲民主党さん、などといったふうに、場所を使い分けているようなのです。確かに、場所取りのためにいちいち政党間で争っていたら、オチオチビラ配りもできません。街を管理する警察との関係もうまく行かないでしょう。だからビラ配りの場所は、ローテーションで交代交代、という紳士協定が存在するようでした。おそらく全国どこの選挙区でも同じではないでしょうか?

自〇党のビラ配りを見学していましたが、やはり中には変わった通行人の方もおられました。「日本をダメにしたのはお前らの党だろう~!?裏金政党、金儲け政党がしゃしゃり出てくるんじゃな~よ!マトモなのはれいわ新選組だけだよ!」とビラ配布者に絡んでくる人がおりました。しかし大声で絡んでくるのだから、それなりに政治について真面目に考えている人なんだと思います。また、こっそり「自〇党を応援しているよ。国際情勢がこんなに危ないんだから、防衛費を増額するのは当たり前じゃないか・・・防衛費より内政へのお金を優先するとか、話し合いで解決するとか、野党はその辺りが現実味が無くて、分かっていないんだ・・・」と話しかけてくる方もおられました。有権者にも色々な人がいる・・・というのは当たり前のことかもしれませんが、それが肌でよくわかりました。

24.10.26 松原仁講演会を振り返って

さる10月24日に、目黒区で無所属で活動されている松原仁先生の講演会が、中目黒駅前のホールで開かれていたので聞いてまいりました。しかし・・・これまた複雑な気分になってしまい、すぐにブログ記事を書けなかったのです。

松原先生の話し方は大変迫力があり熱意がこもっており、それは他のどの政治家もしのぐぐらいだと思いました。松原先生が人気がある理由が少しわかった気がしました。

ただ・・・お話の内容が、「米政府の高官に『日本に原爆を落としたのは正しい』なんて公の場で言うやつがいまだにいる。今の政治家、外務省は情けない。そんな発言、訂正させなければならないんだ!」とか、「北朝鮮の拉致問題はまだまだ北朝鮮政府と話し合う余地がある」とか、どうも外交の一部の話題に偏っている気がして、人々の生活への密着感が薄いような気がしたんです。経済の話題と言えば「財務省の緊縮の姿勢が行き過ぎている。プライマリーバランスなんて気に過ぎちゃいけねえ。財務省はこの30年間、日本を大きくダメにしたと思います」といった、いわゆる「ザイム真理教」理論でお話をされているようでした。

敵を作って攻撃する論法が多い印象ですね。もちろんそれは政治家の常とう手段の一つでしょうが・・・もう少し、画期的な創造的な政策アイデアを持ち出して、「この政策を実現します!」と言ってほしかった。しかしなかなかそこまで、絵にかいたような理想的な演説ができる政治家はいない。たぶん政治家も、実現可能性のある範囲内で、どこまでの理想を語ったらいいんだろう?と迷いながら演説の内容を作っているんだと思います。前の記事でも書きましたが、政治家の演説の内容に、どうもどこかで聞いたようなありきたりな話題が多い気がして、それは有権者のシラケ感を増幅させている恐れがあると思います。


24.10.27 最近読んだ本について

政治とは直接関係ないかもしれませんが、最近読んだ本の感想について。いやはや、最近はすごい本が出ていると思います。直近に限らず、もう10数年前から「時代の変わり目観」は世相のアチコチに出ていると思いますので、「これからの時代はこうなる!」と論じるために、評論家たちの腕試し合戦が活性化しているように感じます。その評論家同士の競争で勝ち上がってきた人たちがベストセラーを出されてるわけなんで、最近の高評価本にはホント、興味深いものが多いと思います。

つい最近読んだのが「地政学が最強の教養である」、「グレートリセット後の世界をどう生きるか」の2冊なんですが、どちらも大変読みごたえがあります。「地政学~」の著者の田村さんという人は私は名前を知りませんでしたが、国会議員を数年務めた後に、シンガポールなどで地政学についての世界的な講演を開いたりする活動を成されているとのことです。世界中の歴史と地政学をセットで考えれば、世界中の国々のトップの思考回路が分かる、というのが主な趣旨です。博覧強記な方で、世界の歴史を一気に駆け巡るようなドライブ感があります。プーチンが始めたウクライナ戦争や、習近平の独裁的な体制に眉を顰める人は多いだろうが、各国の歴史、地政学を念頭に置いたうえで彼らの立場に立って考えれば、彼らの政策にそれなりの合理性があることが分かる、という論旨です。

「グレートリセット~」もすごい本で、著者の長嶋さんという方は元々は不動産の専門家らしく、マンション相場の分析から話が始まっています。マンションを一くくりに語るのは難しく、超売れ筋のトップ15%と、それ以外の70%、最下位の15%では、全く市場が違うのだそうです。トップ15%の不動産物件(駅近等の超優良物件)を持っている人は、投資適格なのでこれからも持ち続けて構わない、しかしそれ以外の物件を持っている人はすぐに売却した方がいい、というドライなお話でした。しかしもっと刺激的なのはその後のお話で、これからは世の中全体の仕組みが変わるほどのグレートリセットが訪れるというのです。特に金融の仕組みは限界に直面している。ドルの基軸通貨体制はもう持たないだろうとのことです。そして、新たな通貨体制に移行した上で、人々はベーシックインカムで生活する社会になるだろうとのこと。私もそれに近いことを考えてるつもりでしたが、これほどのビジネス専門家が語ると説得力が違います。自分の考え、興味ある分野に近かっただけにグイグイ引き込まれて読んでしまいました。面白い世の中に変わりそうだ・・・と思う反面、自分はグレートリセットを上手く生き抜けるだろうか?という不安もあります。興味をそそられること請け合いです。

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