24年12月

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24.12.2 石破政権所感

石破政権からはあまり派手なニュースが聞こえてこないような気がして、しばらく傍観でいいのかな・・・、とも思っていましたが、結構危ない政権のウワサも立っているようですね。やはり衆院選の負けが響いて少数与党となり、国民民主党と連立を組まないまでも、疑似連立内閣のような形になっている状況。それどころか野党のリクエストも受け入れないと国会運営がスムーズに行かないという状況。こういう状況を、保守派の政治ウォッチャーの方々は嘆いておられるようです。確かに、予算委員長のポストを立憲民主党の安住さんに渡してしまったというのは、私も驚きました。しかし・・・ひょっとすると石破さんは、こういう動きを粛々と、確信犯的に進めているんじゃないですかね?安倍政権時代に自民党は極右に近い方向に振れ過ぎてしまった。それを良しとしない心情左派に近い石破さんが、「野党よ、君たちがもっと頑張って、極右が調子に乗らなくて済む政界を取り戻してほしい」等と思っている可能性はないでしょうか?それはそれで、私から見ると興味深い政治現象のように思えます。
参考動画:

24.12.2 文芸春秋12月号

文芸春秋の12月号がなかなか充実していたように思います。巻頭特集の「自民党崩壊」は、久米晃、曽我豪、中北浩爾という方々の対談で、特に私は中北さんのファンなので読み入ってしまいました。石破政権の中には実はチーム石破も優秀な軍師もいない、それでかなり弱体な政権になってしまっている。公明党もかなり議席を減らしていて、与党が全体として弱体化している。石破首相が掲げた政策、防災庁や日米地位協定の見直し、アジア版NATO等は安定政権を前提とした議題なので、しばらく封印して、野党といかにバランスを取りながら安定的な国会運営をするかに注力せざるを得ないだろう。企業団体献金が禁じられれば、ますます自民党は立ちいかなくなる、とのことで、自民党の弱体化の兆しが随所に現れていることが分かりやすく解説されていました。

また、「アベノミクス VS イシバノミクス」という特集においては、陣内了という教授がアベノミクスを批判した上で、そもそも政治が経済に上からやたらと手を突っ込まなくていい、経済音痴の石破さんでもいいから、政治家は経済のことは日銀や市場に任せて、「市場の機能」に対するリスペクトを持つべきだとの論調でした。アベノミクスの最大の汚点は、異次元緩和をやり過ぎて日銀の政策の自由度を奪ったことであると、陣内教授は見ているようです。

続く大竹文雄教授の投稿では解雇規制の解説が論じられていました。総裁選で小泉進次郎さんが「解雇規制の見直し」を訴えたことが話題になりましたが、「企業がクビにしやすくなる」「国際的に見れば日本の解雇規制は厳しくない」といった批判に差されてトーンダウンしてしまったことを大竹教授は嘆いておられるようです。日本の解雇規制は正社員には過度に厳しく、非正規社員には過度に緩い立て付けになっているのだそうです。整理解雇の4要件「人員削減の必要性」「整理解雇の回避努力義務」「人選の妥当性、基準の公平性」「労働者への説明義務」というのがあり、建前としては大企業は裁判沙汰になるのを恐れて解雇を極力回避しているようだけど、解雇を突き付けられた人は実際に裁判になれば、結局辞めざるを得ない状況に追い込まれることが多い。4要件の当てはめ方も、裁判所の匙加減次第なところがあってあいまいなルールである。それよりは、金銭解雇のガイドラインを作った方がいいというのが大竹教授の論旨のようでした。

続く藻谷浩介さんは、「地方創生」の解説です。可住地密度という指標を使うと、東京は世界で3本の指に入る過密都市と言えるのだそうです。一方で日本の地方はそこまで極端に人口密度が下がっているわけでもなく、世界の都市と張り合えるレベルの人口密度の街が多いのだそうです。地方にはまだまだポテンシャルが眠っているとのことです。地方創生の予算は、国で色々と使い道の指図をせず、気前よく配った方が効果は期待できるとのこと。

24.12.4 国際収支から見た日本経済の課題と処方箋

財務省の「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」という議事録をご存じでしょうか?今年の3月から6月にかけて開催された会議の内容をまとめたものだそうです。9月頃の新聞記事で、元財務官の神田眞人は「日本経済分析の知見の宝庫だ」という風な言い方をしています。
国際収支から見た日本経済の課題と処方箋 : 財務省

私がこのレポートの中で特に印象に残ったのは、

①日本の対内直接投資の割合が低すぎる

②生産性の低い産業を維持し続けるのは難しい

という認識でした。日本の対内直接投資の対GDP比はOECD加盟国38カ国中最下位なのだそうです。逆に言えば対外投資の割合が大きい。だからこそ、海外投資の収益を日本に還流させる際に、円安の為替差益で大企業は儲けられているわけです。ただ、国内産業は細っているので、国内産業従事者の所得は上がらない。そりゃ産業の空洞化、格差社会が問題視され続けるのも無理はないと思いました。

生産性の低い企業を延命させるのは難しいというのは要するに「ゾンビ企業を潰せ!」ということですね。例えば中小企業の借入金の返済猶予を金融機関に認めさせる通称モラトリアム法という制度が、亀井静香さんの主導で施行されたことがありましたが、低収益企業の延命を認めないというのであれば、こういう制度も徐々になくなっていく可能性もあるかと思われます。

 

 

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