チームみらいは、衆院選でなんで議席を伸ばせたんだろう?
チームみらいが衆院選で議席を伸ばせた理由は、いくつかの要因がきれいに噛み合った結果だと思う。魔法というより、環境適応がうまかった生物、という感じが近い。
まず大きいのは、既存政党への倦怠感の受け皿になれたこと。自民にはうんざり、でも立憲にも期待できない、維新は肌に合わない――この「政治的迷子」がかなり増えていた。 チームみらいは、左右どちらかに寄り切らず、「今の制度が古くなっている」という不満に焦点を当てた。イデオロギーではなく、OSの更新を訴えた政党だった。
次に、テーマ設定が時代と合っていた。デジタル化、教育、若者の将来不安、硬直した行政。どれも抽象論に逃げず、「やり方が古い」「仕組みが詰まっている」という実感ベー スで語ったのが効いた。政策の正しさ以上に、「話が通じる感じ」が支持を生んだ。
三つ目は、候補者の見え方。完璧な政治家像ではなく、「普通に頭が回る人」「説明ができる人」を前に出した。カリスマ路線でも、怒りの代弁者路線でもない。これは地味だけ ど、今の有権者には安心材料になる。失敗しそうに見えないことより、暴走しなさそうに見えることが大事な局面だった。
四つ目は、選挙戦の戦い方。街頭演説やネット発信で、敵を殴らない。自民を腐すより、「なぜ今の仕組みだと回らないのか」を淡々と説明した。結果、反発が少なく、無党派層 が警戒せずに耳を傾けられた。政治に疲れている人ほど、この温度感を好む。
最後に、規模がまだ小さいこと自体が強みだった点もある。政権を任せるには不安でも、「議席を少し増やす」なら許容できる。この「実験枠」にうまく収まった。大政党が失っ た柔軟性を、小政党が拾った構図だ。
まとめると、チームみらいは「正解を提示した」より、「今の閉塞感を言語化した」政党だった。その能力は、派手さはないが、選挙では案外いちばん強い。政治が思想の戦場か ら、制度疲労の修理工場に移りつつある兆候とも言える。
具体的に、どの政策に1番説得力があったんだろう?
一番説得力があった政策は何か、と聞かれたら、個別の目玉政策というより 「行政と政治のアップデート(=仕組み改革)」を軸にした一連の主張だと思う。 その中でも、特に刺さった中核はこれ。
「デジタル前提で国の意思決定と行政を作り直す」 これが象徴的で、かつ実感に近かった。
なぜこれが強かったかというと、日本社会の不満がすでに 「お金が足りない」 「理念が間違っている」 よりも 「やり方が遅い・重い・非合理」 に集約されていたから。
チームみらいは、
・給付や補助金が遅い
・縦割りで誰も責任を取らない
・ルールが昭和のまま固定されている
という、国民が日常で何度も味わっているストレスを、かなり正確に言語化した。 ここが重要で、「将来こうなります」ではなく 「今あなたがイラッとしている原因はこれです」 と説明できた政党だった。
特に説得力があったのは、 デジタル化を“IT推進”ではなく“統治の改革”として語った点。
多くの政党は 「デジタル人材を育てます」 「DXを進めます」 で止まる。これはスローガン止まり。
一方でチームみらいは、
・政策立案の透明化
・データに基づく意思決定
・行政の進捗が可視化される仕組み
といった、権力の使い方そのものを変える話をした。
これは地味だけど、「もし本当にやったら景色が変わる」タイプの政策。 革命ではなく、配線工事。
さらに効いたのが、 若者向け政策を“優遇”ではなく“合理化”として説明したこと。
奨学金、教育投資、キャリアの流動化を 「かわいそうだから助ける」ではなく 「社会全体の効率が悪いから直す」 というロジックで語った。 感情論に見えないので、年齢層を越えて納得されやすかった。
要するに、チームみらいの強さは 「これをやれば幸せになります」ではなく 「今の仕組みはバグってますよね?」と静かに指摘したこと。
人は理想より、 自分が感じている不具合を正確に言い当てられた時に、 一番強く「この人たち、分かってる」と感じる。
だから支持が広がった。 未来を語ったからではなく、現在の不合理を解剖できたから。 これは派手さはないが、選挙では驚くほど効く武器になる。
そこ、ものすごく健全な疑問だと思う。 結論から言うと――言うだけなら、誰でも言える。実際、日本の政治家の8割は言ってきた。だから疑うのは正しい。
じゃあ、チームみらいは何が違うのか。 「本当にできるか?」はまだ仮説の段階だけど、少なくとも“できない側の匂い”は薄い。その理由を冷静に分解するね。
まず、日本でこの手の改革が進まなかった最大の理由は、能力不足よりインセンティブの欠如。 透明化や可視化は、やると
・失敗が見える
・遅延が見える
・責任の所在が見える
つまり、既存の政治家にとってはリスクが増える。 だから「やる」と言っても、本気でやる人は少ない。
チームみらいが一歩違うのは、可視化されることがむしろ得になる構造にいる点。 新興勢力で、既得権や長年の人間関係が薄い。 「過去の失敗を掘り返される恐れ」が小さいから、 透明化は自爆装置じゃなく、信用を作る装置になる。
次に、話し方が抽象論で終わっていない。 普通の政治家は 「透明性を高めます」 で止まる。 チームみらいは、
・会議資料を原則公開
・KPI(進捗指標)を外部から追える形で出す
・政策の仮説→検証→修正を明示する
と、実装手順の匂いがある。 これは口先だけの人には出にくい。
三つ目は、政治を“プロジェクト管理”として見ている感覚。 日本の政治は、いまだに「精神論+根回し文化」が強い。 一方チームみらいは、政策を 「期限」「担当」「成果物」がある仕事 として語る。 この視点は、実務をやった人間でないと身につきにくい。
ただし、重要な留保もある。 できる能力があっても、議席が少なければ実現しない。 官僚機構は巨大で、政治主導は幻想になりがち。 だから短期的に全部は無理。
現実的な評価はこうなる。
・理念としては凡庸(誰でも言える)
・実装の解像度は平均より高い
・成功するかは「数」と「継続性」次第
つまり、 「信用できる革命家」ではないが、「実験させる価値のある改修屋」 という位置づけ。
疑うべきだし、監視も必須。 でも、「どうせ無理だろ」で切り捨てるには、 これまでの日本政治とは少し違う筋肉の使い方をしている。
政治を信じる必要はない。 検証可能な約束をさせて、できなければ落とす。 チームみらいは、少なくともその土俵に自分から上がってきた。 ここが、従来の「うまいこと言う政治家」との境界線だ。


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