自然エネルギー

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太陽光発電

太陽光発電は従来の発電所に比べて建設が容易なことと発電コストの低下により、世界の脱炭素化のけん引役となっている。国際エネルギー機関も「太陽光が電力の王様となる」と表現するなど、太陽光の利活用は、脱炭素化の進展にもエネルギーの安全保障にも重要である。
元々は発電コストの高さが問題視されていた。FIT制度(固定価格買取制度)において、制度導入当初の2012年、買取価格は1kw時あたり42円(10kw未満)で設定されていた。事業者から高い金額で電力を買い取る分、国民は上乗せされた高い電気料金を払っていた。2022年度の買取価格は、50kw未満は11円+税まで下がってきている。
ただ、太陽光発電は常に一定した発電ができないという問題を抱えている。日照に左右されるため、天気の悪い日はほとんど発電できない。夜間も発電できない。電力を貯めておいて後で必要な時に使う、ということができればいいのだが、そのために必要な蓄電池は、技術的にはほぼ出来上がっているものの、コスト高の問題が解消できず、まだ普及には時間がかかると見られている。
そのため、日照が強すぎるときには期待以上に発電しすぎてしまうという問題もあり、他の電気系統を優先的に使わざるを得ないため、太陽光は出力制御を強いられた、という出来事もあった。
余った電気エネルギーを水素の生成等に使えないかという議論がなされている。
また、国内にも優秀な太陽光パネルメーカーはあるものの、世界的に見れば海外企業が圧倒的なシェアを有しており、太陽光発電を普及させても、海外企業にばかり利益を吸われてしまうという問題もあると言われている。
また、これまで勢い良く普及されてきた太陽光パネルの寿命問題も、そろそろ顕在化するのではないかと言われている。

風力発電

世界の風力発電の設備容量は、21世紀に入って大幅に増加を続けている。設備容量が最大の国は、風力発電についても中国である。
エネルギー白書より
第5次エネルギー基本計画は、風力について、陸上と海上に分けて諸課題を指摘している。陸上風力に関しては規制・制度の合理化、洋上風力に関しては海域利用のルール整備や系統制約、基地港湾への対応、関連手続きの迅速化と価格入札の組み合わせ、着床式・浮体式双方の技術開発を、それぞれ強調しているわけであるが、政策的な力点は洋上風力の方に置かれているように見える。
国際機関の分析では、洋上風力は2040年に世界で120兆円超の投資が見込まれる成長産業とみられている。
日本は世界第6位の排他的経済水域を持つ世界有数の海洋国家だ。海上はさえぎるものが無く、日本の海洋は風況の良い地域も多いことから、洋上風力のポテンシャルは非常に大きいと言える。また、洋上風力の事業規模は数千億円、部品数が数万点と多く、関連産業への波及効果が大きいという特徴があり、日本の得意とするものづくり産業が実力を発揮できる分野でもある。
なお、洋上風力には、海底に基礎を形成して風車を建てる着床式と、海上に風車を浮かべる浮体式の2種類があり、国際的に進展しているのは、欧州の浅い海などで導入されている着床式である。日本近江は深い部分が多く、着床式では適地が限られるという制約もある。今後、技術革新が進んで浮体式が普及すると、日本の脱炭素化は一気に進展するかもしれない。
再生エネルギー白書より

地熱発電

再エネの特徴として、自然条件によって出力が変動するという難点があるが、安定した出力を誇るのが地熱発電である。地中深くの地熱貯留層から熱水や蒸気をくみ出し、タービンを回すという発電手法である。したがって、熱源の有無が重要なわけだが、熱源について日本はアメリカとインドネシアに次ぐ、世界第3位のポテンシャルを有している。
再生エネルギー技術白書より
一方で、日本の地熱発電設備容量は、国際的に見て小規模である。地熱発電に関しては、保有資源量と発電設備容量との間に大きなギャップが存在するのである。実際、国内の総発電電力量に対する地熱の割合は0.3%に留まっているのが現状である。
日本の地熱開発には2つのボトルネックがある。
1つは環境規制の厳しさ、中でも環境アセスメントの期間が長いことである。我が国の地熱資源は国立公園・国定公園の内部ないし周辺に集中しているという事情もあって、地熱発電所建設に対する環境規制が厳しい。それと地熱開発との折り合いをどうつけていくかは難しい問題であるが、逆に言えば、環境アセスメントの迅速化などの規制緩和が進めば、地熱開発は進展することになる。
※環境アセスメント・・・環境に影響を与える計画や事業その他の行為に際し、環境の現況を評価し(環境評価)、ついで各種の代替案を考えて、それぞれの案の環境への影響を評価して(環境影響評価)、最良の案を選択し、さらにその実施段階で、予測・評価どおりになっているかどうかを監視し、そうでない場合には見直し、是正するという各段階からなる手続の総体をいう。(コトバンクより)
もう1つは、日本固有の産業ともいえる温泉産業に携わる関係者の反対である。一例をあげよう。日本国内での電源立地に関して、自民党の国会議員の多くは、原子力から太陽光、風力に至るまで、基本的には賛成する。ところが、地熱発電の立地についてだけは、それに反対する。温泉業者関係の票が逃げることを恐れるからである。自民党の国会議員が反対する電源の開発は難しい。
このボトルネックの解決はなかなか困難であるが、例えば、九州の別府・杉乃井ホテルとか霧島国際ホテルのように、温泉業者自身が地熱発電を導入するという方法がある。また、九州電力と出光昭和シェルが共同運営する滝上発電所で実際に行われているように、地熱発電で使い終わった暖かい蒸気を地中に戻す際に、その一部を地元に供給することも有効である。地域の理解促進が進めば、地熱発電が拡大することは間違いない。

バイオマス発電

再エネにおいて、太陽光や風力などは発電時にCO2排出を伴わない。一方、バイオマス発電は生物由来の燃料を燃やして発電するため、CO2排出を伴う。したがって、バイオマス発電では、発電の一連の循環をカーボンニュートラルとして考える。バイオマス発電は、発電時に生物由来の資源を使うが、例えば木質バイオマスの場合、調達した木材分に対して植林などを行う。植林した木が育てば、その木が成長過程で大気中のCO2を吸収し、CO2を内部に固定化する。その循環がある限り、大気中のCO2増加は起こらない、つまりカーボンニュートラルであるという考え方である。
他方、この考え方には、CO2排出を伴うことへの否定的な見方のほか、調達分と同等の木々を回復できるのか、バイオマス発電のための伐採は環境にいいのか、原生林などは回復しないのではないかなど、批判的な見方もある。欧州では、ノーゴーエリアと呼ばれる多様性の高い原生林から木材を調達することを再生可能と認めるべきではないとの指摘も出ており、こうした考え方が国際スタンダードになる可能性もある。
バイオマス発電にとっての最大のボトルネックは、物流コストの高さにある。それが生じる根本的な原因は、日本の林業の脆弱さに求めることができる。現在でも、林業組合が元気な地域では、バイオマス発電が拡大している。ここでは、林業の再建こそが最大の課題であろう。

参照、引用元:
「エネルギー・シフト」橘川 武郎 白桃書房

「カーボンニュートラル 超入門」前田 雄大 技術評論社







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