裁判所の種類と審査範囲
▶最高裁判所
【構成】長官と14人の判事
【地位と権限】
①終審裁判所
②憲法の番人:憲法違反について最終的な決定を行う
③司法行政権:規則制定権(第77条)、下級裁判所裁判官の指名権(第80条)
最高裁判所には、司法権の独立を確保するため、訴訟に関する手続き、弁護士、裁判所の内部規律および司法処理事務に関する手続きに関する事項について規則を制定する権限が、憲法によって与えられている。
大法廷:憲法判断、あるいは重大な判例変更の可能性が高い事件について原則15人全員の裁判官(定足数9)で審議する。
小法廷:5人の裁判官(定足数3)によって構成され、すべての訴訟事件は最初に小法廷で審議される。
▶下級裁判所
高等裁判所:全国8か所(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・高松・広島・福岡)に設置。通常の事件の控訴審を担当する。東京高裁の特別支部として知的財産高等裁判所が2005年から設置された。
地方裁判所:全国50か所(北海道4か所、各都道府県に1か所)に設置。通常の事件の第一審を担当する。
家庭裁判所:地方裁判所と並置。離婚や相続などの家庭事件の審判や少年保護事件の審判を行う。
簡易裁判所:全国438か所に設置。罰金刑以下の刑事事件や訴額140万円以下の民事事件などを扱う。
裁判官の身分保障
司法権の独立を確保するには、裁判官の身分も徹底的に保障されていなくてはならない。そのため、「報酬の保障」(第79条、80条)や「下級裁判所の任期」(第80条)などが憲法で保障されているだけでなく、「行政機関による懲戒の禁止」(第78条)も憲法で規定されている。
裁判官は「憲法」と「法律」と「良心」のみに拘束される(第76条)。