NHK党は大変ユニークな政党である。ただユニークすぎるがゆえに・・・というべきか、賛否両論が激しい。賛否両論に取り巻かれる、というのはどんな政治家、政党にも言えることかもしれないが、私が見るところ、NHK党は賛否両論具合がかなり極端なのである。
それに・・・頑張って資料を集めて読み込んで、公平な目線を心がければ、たいていの政治記事は書けるはず、とこれまで私は思っていた。しかし、NHK党に関して悩んだ。どう書いていいかよく分からないところも多いのである。
それに私自身のこともある。私はNHK党にお世話になっている。選挙演説者からNHK撃退シールをもらって部屋の入口に貼り、NHK党の窓口で教わって、受信料の不払いを続けているのだ。これは一種の利害関係者のような立場なのかもしれない。本来であればNHK党に批判的なことは書いてはいけないのかもしれない。
ただここは公平を心がけて書いてるつもりの政治ブログなので、NHK党のお世話になっていながら卑怯なのかもしれないが、ある程度は批判的なことも書こうかと思う。
NHK党とは!?立花孝志とは!?
一時期立花党首と一緒によくYouTubeチャンネルに出ていたホリエモンも絶賛していたように、立花孝志党首はものすごく戦略的な人である。そして頭がいい、行動力がある。とにかくバイタリティにあふれている。それでなおかつ研究熱心である。この辺りは、成功する企業経営者にも共通する特質ではないか、と思う。
「立花孝志かく闘えり」という本が実に面白い。上記のような立花氏の特質もありありと伝わってくる。興味のある方は是非一度ご一読いただきたい。
スゴイ所① ワンイシュー政党
戦略的、というのはまず、「ワンイシュー政党」であることだ。周知のことだが、立花党首は「NHKをぶっ壊す!」を政治キャッチコピーに掲げている。これの意味するものは何も、NHKをこの世から抹消してやりたい、とかいうのではなく、「NHKのスクランブル放送を実現すること」なのである。スクランブル放送とはつまり、「有料チャンネルのユーザーだけに放送を見られるようにする」ということだ。これは全く合理的な発想で、何もNHK党の支援者でなくとも、「NHKを有料チャンネル化すればいいのに」と思っている人は多いはずだ。お金を払った人だけが見られる仕組みにすればいいということだ。そうすれば、見たくない人は受信料を取られずに済むし、多少は見たいけどお金の節約がしたいという人も、「見ない選択」をすることができるようになる。
それに多少政治に興味のある人も、「ワンイシュー政党」がどれだけスゴイことか分かってらっしゃるだろうか?立花党首もバイタリティあふれる人なので、政治家になったら「経済の問題をこうしたい」「外交の問題をああしたい」という欲求があったかもしれない。しかし「政党の突破力」を最大限に高めるために、余計なものは全てそぎ落としているのだ。NHKに焦点を定めたことで、この政党の話題性は抜群だ。応援する人も、いぶかしむ人も含め、日本中の有権者の好奇の目を集めることには、とりあえず成功している。それにこれだけ生活苦の人が増えているご時世、「NHKのスクランブル放送化(見たくない人は受信料を払わなくていい)」は共感を集める一方だ。
スゴい所② 裁判の研究
立花党首の次にすごい所は、研究熱心でありなおかつ行動力が伴っていることである。NHKが国民に受診料支払いを強要してくるスタンスに対抗するために、徹底的に裁判で戦おうとしているのだ。今までにも無数の裁判を起こしているらしい。かなり費用もかかると思われるが、立花党首はパチプロでもあるらしいので、パチンコで稼いだ費用を裁判につぎ込んだのかもしれない。何よりも、「法律を勉強する」ために法律書を読み込むだけではなく「実際に裁判を起こしまくる」というのがスゴい。並の人間ではまねできないだろう。負けている裁判も多いらしいが、裁判を起こすことを通じて世間のNHKに対する意識を喚起することが、あくまでも目的のようだ。
スゴい所③ 選挙の研究
維新の橋下徹さんが対談の中で「そんなに言うなら市民活動ではなくて自分で政党立ち上げてやれよ」と言うのを聞いたことをきっかけとして、政治家の道へ歩み始めたという立花氏。
橋下徹さんの記者会見に立ち会った直後にはもう「NHK受信料不払い党」を立ち上げたという。この辺りの行動力がまたすごい。そして地方選では数百票で当選できる可能性があるので、まず地方選に目を付けたらしい。
そして売名のために都知事選に立候補。売名と割り切っているところがドライすぎるが、戦略的だ。
チラシの配り方、ポスターの貼り方も徹底的に研究したらしい。
以下、引用文も掲載する。
「…まず、当選するために必要な得票率というものが地域によて異なります。例えば、東京の世田谷区では1.1%の得票率で当選します。一方、狛江市では2%とっても当選できません。これを分析するために僕は全国の過去の選挙データをExcelに入力しました。人口、有権者数、投票率、定数、最下位当選者の得票数、こういったものを要素にして分析します」
この辺りにも研究熱心さがうかがえるのではないだろうか。
難点は?
前掲書「立花孝志かく闘えり」の中では、「私人逮捕~」というくだりで見開き2ページしか説明されていないのだが、選挙妨害なり、NHK党を批判してくる人に対しては、結構えげつない攻撃をカマしているらしい。「『NHKから国民を守る党』とは何だったのか?」という本に、批判者への攻撃が詳しく書かれていて、NHK党をユニークだと思っていた私はコレを読んでだいぶゲンナリしてしまった。先述の「書いていいか悩んだ」というのもこの辺りである。批判者の実名、住所などを突き止めて嫌がらせで大量のモノを送り付けるなり、ネットにさらすなり、しているらしい。選挙妨害自体、反社会的行為に近いと思うので、あからさまにNHK党の選挙を妨害している者がいたとしたら、その人にも問題はあるはずだ。しかしちょっと批判的なことをネットなり本などに書いただけの人間を、執拗に攻撃し続けるのはいかがなものか?と思う。立花氏本人が全ての攻撃を企てているわけではないかもしれないし、実際、党内には批判者への攻撃部隊みたいなメンバーもいるようだ。ともかく、NHK党の一部にはそういう体質もあるということだ。
立花氏はこれだけ才能にあふれている人間なので無理もないことかもしれないが、どうやら彼は「自分大好き」人間らしく、自分を批判するものは許せない、批判者には徹底攻撃をカマさないと気が済まない所があるようだ。NHK党関連本の中にも、所々自画自賛ぶりが若干鼻に付くところも見られる。NHK党を胡散臭く思っている人は、立花氏のそういうキャラクターぶりにうさん臭さを感じているのではないか?政治にはケンカはつきものなので、政敵を攻撃するのはNHK党に限ったことではない。口汚い攻撃だって、政界ではときとしてアリだ。しかし、国会と関係ない場所で私人を執拗に攻撃するのはいかがなものか?と思う。なんとか・・・政治の戦いに「穏便」というのは不釣り合いかもしれないが、批判者をもう少し穏便に遠ざける手法を編み出してもらえないだろうか?
あとは、立花氏だけが突出した能力の持ち主で、他の党員は面白がって付いて行ってるだけ、の側面もありそうなので、新興宗教の教団みたいな雰囲気もある。そこも批判者からは胡散臭く見えるところかもしれない。昔のライブドアもある意味教団ぽい雰囲気が漂っていたかもしれない。その意味では立花氏とホリエモンは、教祖同士で仲良くなったのかもしれない。ちょっとヘンな言い方をしたが、立花氏が大変な才能の持ち主であり、なおかつ合理的な戦略家であることは間違いないところだ。
参照文献:
「NHKから国民を守る党 立花孝志かく闘えり」立花孝志 大洋図書
「「NHKから国民を守る党」とは何だったのか?」選挙ウォッチャーちだい 新評論