政治思想

「右」と「左」

最も古典的な政治思想の対立はもちろん「右」と「左」である。

「右」は保守的、伝統を重んじるというイメージ、「左」は革新と言われることもあったようだが、比較的最近の時代だとごく単純に共産主義を指す、そんなイメージかと思う。

そもそもなんでこれが思想の対立軸なの!?と若い人なんか疑問に持つこともあるかと思われるが・・・共産主義の反対は資本主義でいいんじゃないの?とか、ていうかこれ、政治思想の対立軸というか経済思想の対立軸でしょ!?とか。

ていうか自由主義と全体主義の対立軸が一番わかりやすくていいじゃん、とか。

若い人は特に、これって○○のことじゃん!なにわざわざ難しい言い方してんの!?とかいう疑問をドンドン持ってもらっていいと思う。

世間一般で、特にマスコミや大学などの中にいる「知識人」たちが一般にどういう言葉遣いをしているか、ということをとりあえず知っていただきたい。

そういう観点から考えると、古典的な区分けは間違いなく「右」と「左」となる。

色々な本等で解説されていることなので今さらだが、この右と左はフランス革命時の国民議会が発端だそうで、ルイ16世の処刑と富裕層からの財産没収を要求するジャコバン派が議長席から見て左側に座り、個人の財産を守り、革命終結を求めるジロンド派が右側に座った、ということから付いた呼び名である。

フランス革命からマルクスの資本論、共産主義国家の成立まではタイムラグがあるが、富裕層から財産没収する過激なジャコバン派の考え方に関連付けて、共産主義=左、という慣用表現も定着したのだろう。

ただ、最近は特に若い人などで、共産主義はピンとこないという人も増えた。共産主義国家のソ連が崩壊したのは1991年のことで、これが冷戦崩壊と言われる。

共産主義的な考え方は残っているものの、共産主義国家はほとんどない、あるとしてももう少しソフトな社会主義体制ばかり・・・

「保守」と「リベラル」

そんな現状を鑑みて、最近の時代で最も一般的に使われている政治思想の区分けは

「保守」と「リベラル」に移行した、と考えていいだろう。

「右」→「保守」になって、「左」→「リベラル」になった、とザックリ考えてもらっていいと思う。

「保守」は社会や家族の伝統や秩序を重んじ、急激な変化を求めない考え方。人間社会に強い者と弱い者があるのは当たり前だから、ある程度の社会格差はあってもやむ無しと考えているフシがある。「リベラル」は個人の自由や多様性を尊重し、弱者救済に熱心なタイプ。

ここで早速「あれっ??」と思った方もおられるかもしれない。そう、政治思想は歴史を通じて、ありとあらゆる「ねじれ」を生み出してしまった。↓続く

参照文献、おススメ文献:

「政治思想マトリックス」茂木誠 PHP

「保守主義とは何か」宇野茂樹 中公新書

「保守の心得」倉山満 扶桑社新書

「リベラルとは何か」田中拓道 中公新書

「リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください」井上達夫 毎日新聞出版

「政治学大図鑑」ポール・ケリー 三省堂






 

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