内閣

内閣 内閣
日本国憲法では「行政権は内閣に属する」(第65条)と明記しており、日本国の政治を行うのは内閣であり、そして内閣の首長(リーダー)が内閣総理大臣(首相)だ。国民が選んだ国会議員の中から首相を国会が指名することになっている。
▶内閣の職務
(第73条内閣の職務)
・法律の誠実な執行、国務の総理 ・外交関係の処理
・条約の締結。事前もしくは事後に国会の承認が必要
・官吏(国家公務員)に関する事務を掌理
・予算を作成して国会に提出すること
・政令の制定 ・恩赦の決定。恩赦の認証は天皇の国事行為
(その他の条文)
天皇の国事行為に関する助言と承認(3、7条)・最高裁判所長官の指名(6条)・最高裁判所長官以外の裁判官の任命(79条、80条)・臨時国会の召集の決定(53条)・参議院の緊急集会の要求(54条)・予備費の支出(87条)・決算および会計検査院の検査報告の国会提出(90条)・財政状況の報告(91条)
▶内閣総理大臣の権限
【憲法上の権限】
国務大臣の任命と罷免(68条)・国務大臣の訴追の同意(75条)・行政各部の指揮・監督、法律案、予算案などの議案の国会への提出、一般国務、外交関係の報告(72条)
【その他】
閣議の招集、主催・行政処分、命令の中止・皇室会議の議長、安全保障会議の議長、自衛隊の指揮監督、緊急事態における警察の統制、公益事業の労働争議に対する緊急調整の決定など

内閣とは~??

日本の「内閣」について明確に「これが内閣だ!」とクッキリ説明することは若干の難しさが伴うように思う。というのも日本の政界においては伝統的に与党そのものの力が大きすぎて、閣僚のメンバーは「与党から選んでもらえた人たち」という性格が強く、「与党をけん引していく」という本来内閣が持つべき力を十二分に発揮できなかった時期が長かったのだ。

また、与党にしても内閣にしても、とにかく国会議員の力が官僚の力と比べて相対的に弱い(官僚の力が強すぎる)ということも、長らく言われ続けてきた。

そういう問題意識は政界の中にもあり、内閣の力を強めよう、という動きは続いてきた。ただ最近は「官邸主導」という言葉も多用されており、「内閣を強化する」ことと「官邸主導」、大きく言えば「政治主導」は若干混同されている気もする。今のところ私の考えは、これらの概念をキッチリ分けて整理するべき、というわけではなく、日本の政界はそれらを混然一体としたまま改革してきたのだから、そのないまぜの様相をそのまま説明すればいいのではないか、というものだ。

ところで若い人には、「内閣」と聞いて、あるいは公民の教科書に「内閣」と書いてあるのを見てもピンとこない人もいるのではないだろうか?こんな数人~10数人の大臣で行政の仕事が勤まるのか?と(最近の賢い若者はそんなところで疑問を持たないかもしれないが・・・)。

もちろん閣僚のメンバーは政界の代表的な意味合いが強く、その下には巨大な官僚組織が控えていて、そこに属している官僚たちが実際の行政事務を執り行っているのだ。例えば経済産業大臣の下には経済産業省があり、大臣は省の顔役であるにすぎない(だからこそ、省庁業務にさほど通じていない大臣が就任してしまうと、国会答弁の下手さを突っ込まれることになり、これが内閣の弱さにつながってしまうのだが・・・)。

だから私は、「内閣」はいっそのこと「中央省庁」と言い換えた方がいいんじゃないか?と思ったこともあるが、それだと内閣を強化することが政治主導にはつながらなくなってしまう。中央省庁を強くするということは強い官僚をさらに強くするだけだから、これからやりたい改革と逆行してしまう。だから内閣はあくまでも政界の顔役であり、行政のトップと解するべきなのだろう。

中曽根~小泉~安倍の内閣主導体制

内閣主導的な体制は、例えば中曽根内閣(1982~1987年)から少しずつ始まっている。首相の私的諮問機関である第2次臨時行政調査会がそれだ。中曽根は元来、首相の力を強めたい、大統領に近いものにしたい、という願望を抱いていたと言われる。日本の議院内閣制の仕組みの下で、首相を頂点とするトップダウンの仕組みを少しでも実現するために、中曽根は目玉政策を力強く推進するための諮問機関を作ったのだ。この体制の下で、日本国有鉄道、日本電信電話公社、日本たばこ産業の三公社民営化が進められた。ただ、花形の政策を臨調が取り上げてしまうので、当時の各省庁の幹部は面白くない思いをした、というウワサも漏れ伝わる。

そして森政権下の2001年1月の中央省庁再編において、総理府、経済企画庁、沖縄開発庁を統合する形で、内閣府が設置された。さらに内閣府の中には経済財政諮問会議が設置され、小泉政権下ではこれが十二分に活用されていくことになる。小泉内閣以降の予算編成では、8月の概算要求に先立って経済財政諮問会議が経済成長率などのデータを検討したうえで「骨太の方針」を閣議決定し、予算の全体像をまず明らかにした。「骨太の方針」を踏まえて財務省が各府省の概算要求を査定する流れとなった。従来のような復活折衝は行われず、閣議決定が先行しているため与党幹部の影響力も限定的となり、予算編成への官邸の影響力が強まった。

さらに安倍政権下の2014年において、内閣官房内に内閣人事局が設置された。省庁幹部職員の候補者名簿や、選考基準の作成が、内閣人事局の事務となった。従来、各省大臣には実質的な人事権はなく、幹部人事については、事務方トップの事務次官が作成する人事案を承認するしかなかった。これを、内閣人事局が、民間からもリストアップした候補者名簿を担当大臣に提出できるようにし、事務次官の人事案に縛られないようにした。

(以上、ウィキペディア、コトバンクより多くを参照)

参照文献:

「内閣制度」山口次郎 東京大学出版会

「立法学」中島誠 法律文化社








 

スポンサーリンク
行政機能の拡大・行政の民主化

行政機能の拡大・行政の民主化

行政機能の拡大 ▶委任立法の増大 行政府が定めることができる命令(政令・省令)は立法府が制定する法律に基づかなければならない。そこで立法府に法律という大枠を決めさせて実質的、具体的な部分については行政府にゆだねる法のことを委任立法と...
公務員

公務員

ここでは主に国家公務員のことを取り上げようかと思うが、基本的な仕事の性格は地方公務員も大きく変わらないだろう。 公務員は極端なメリット・デメリットが混在しているような職種であり、どう書けばいいか迷う気もするが、ともかく今思いつくままに...
日本の行政機構

日本の行政機構

日本の行政機構、1府12省庁の姿が以下のようなものだ。 以下、各省解説はコトバンクより引用 内閣官房 内閣総理大臣を直接補佐する,内閣の補助機関。内閣官房長官の下に内閣官房副長官(政務担当 2人,事務担当 1人)および内閣人事...
民主党政権

民主党政権

民主党政権は2009~2012年にかけての政権であるが、短期間で政権担当能力を失い、また安倍政権時代に「悪夢の民主党政権」と悪口をたたかれていたことからも、マイナスイメージを持つ人も少なくないだろう。しかし大変な改革意欲に富んだ政権で、自民...
政治主導は進んだのか!?

政治主導は進んだのか!?

政治主導は進んだのか!?という問題意識について、ここ10数年議論されることがある。相変わらず官僚の力が強すぎて、政治主導は大して実現していないという見方・・・、あるいは内閣人事局で官僚が官邸への忖度を強めるようになり、「悪い政治主導」が進ん...
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました