公務員

ここでは主に国家公務員のことを取り上げようかと思うが、基本的な仕事の性格は地方公務員も大きく変わらないだろう。

公務員は極端なメリット・デメリットが混在しているような職種であり、どう書けばいいか迷う気もするが、ともかく今思いつくままに書いてみよう。

まず昔から「お役所仕事」などと揶揄されることもあるが、いわゆる堅苦しい仕事が多いことは確かだ。何が堅苦しいかと言えばどの役所にも、その役所が所管する法律が大量にあり、その法律通りに正確に事務処理をすることが求められるからだ。もちろん民間企業のサラリーマンだって法律を守らないといけないのは当たり前だが、役所は法律をつかさどる立場上、絶対にミスが許されない状況で法律にのっとったあらゆる事務の処理、あらゆる書類の処理等をこなさないといけない。多くの事務にとにかく正確性が求められるため、新しい文書を作った際には、1枚の文書だけでも2,3人の上司にチェックしてもらい、その都度決裁をもらわないといけない、などということがザラだ。1通の封書を郵送するだけでも、3回ハンコをついてもらわないといけない、なんてこともある。

いわゆる「デキる」職員、学生時代成績の良かった人も多いため、みんなスマートな雰囲気で仕事をしており、ある種の緊張感が漂っている役所も多いだろう。そして、ある程度の仕事が「できて当たり前」の文化があるため、上司の部下に対する評価は、「減点主義」になっていることが多い。つまり役所に入ってきたときは100点の点数をもらっているが、仕事でミスをするたびに次々に点数を引かれ、減点の少ない人が出世していく、というイメージだ。

こんな書き方をすると若い人はひたすら「つまらない仕事」のイメージを抱くかもしれないが、もちろん学生さんは公務員試験を受ける際に、少しでも興味の持てそうな役所を受験すればいいわけだし、私の独断と偏見から言えばかなり面白そうな役所も事実、存在している。私は実際、中で働いたことがないので、正確なことは言えないが、中央省庁の仕事は「国の中心」という責任も大きい分、面白い仕事も多いのではないか。実際、若いうちから国会答弁の資料作りをする、という話を聞いたこともある。ただし、中央省庁の仕事は一般的に言って拘束時間が長い。仕事の内容も、比較的ハードなものもあるだろう。一方で、地方の出先機関なり、地域の市町村であれば、毎日定時(17時)で仕事を終える役所も多いはずだ。出先機関でも、○○局などと名のついた大きな役所であれば割と夜遅めまで働く役所もあるだろう。これは公務員志望の人たちはよく確認してほしい。

仕事内容について個人的なイメージから言わせてもらうと、経済産業省は面白そうなイメージがある。あまり組織全体のルールで一人一人の職員を縛るのではなく、逆に野武士的な性格の職員たちが自発的に活発に働いている雰囲気があるそうだ。それに日本の産業を活性化するための役所なので、何かと発展的な仕事に関わる機会もあるだろう。これは何も中央の経済産業省だけでなく、地方の経済産業局でも、地域の産業の発展のために創造的な仕事に取り組む仕事は多いらしい。ただこれも・・・元経済官僚で有名な岸博幸さんが「辞めた理由は仕事がつまんなかったんです」とアッサリコメントするのを聞いたことがあるので(汗)、もちろんどう感じるのかは実際中に入った人によるだろう。公務員志望者の人は慎重に検討してほしい。

上記の話はどちらかというと公務員の「つまらなさ」が目立ってしまったかもしれないが、公務員は依然として人気の高い職種だ。それは言わずと知れたことかもしれないが、ズバリ仕事としての条件がいいからである。「そんなの当たり前だろ」という人も多いだろうが、ここは公務員をあまり知らない人に向けて書いてると思ってほしい。

まずよく言われることだが「公務員は安定している」。よほどの天変地異なり、大行政改革でもない限り、役所は半永久的に存続し続けるだろう。倒産することはまずない。仮に行政改革で勤める役所が整理の対象になったとしても、他の役所にスムーズに転職させてもらえるはずだ。

それに、昔からよく「公務員の給料は安い」と言われるが、そこは若い人はそんなに悲観する必要はない。それどころか、「公務員の給料は安い」というのは半分以上ウソだと私は思っている。トータルに見て、公務員の給与水準は中堅企業の正社員と同程度以上の水準は保障されているのだ。20代の若いころは、役所によって、また採用枠によっても違うが、安月給の所も多い。高卒であれば月17万円もらえるかどうか、大卒なら月20万円もらえるかどうか、といったところではないか。ただ、キチンと勤め続けさえすれば、年齢に応じて順調に昇給させてもらえるはずだ。一部の国家公務員では、30代半ばで月手取りで40万円程度もらっているケースもある。月40万円だから、ボーナスは半期に80万円だ。つまり夏と冬に80万円ずつ、月給とは別にもらえるということだ。それでも大企業の正社員よりは若干安いかもしれないが、多くの一般の人にとって、まあ普通以上の生活は保障されると言っていいレベルだろう。それに、福利厚生ももちろん、大企業に近い水準で保障されていると思ってもらっていいだろう。交通費はほぼ100%支給されるはずだし、社会保険はもちろん完備。住まいに関しても公務員社宅に入居させてもらえるチャンスもあるはずだ。普通のマンションに住みたい人はもちろんそうすればいいのだが、公務員社宅は中には、一般であれば月額家賃6万円以上しそうな広めの1Kマンションスタイルの部屋に、月額1万円で入居させてもらえる、なんてケースもある。それに安めの職員食堂を用意している役所も多く、昼食は1食500円で済む、なんてケースも多いはずだ。やはり公務員は何かと優遇されている。これはジャーナリズム的な視点から見れば、「公金の無駄遣いをしていないか!?」とメスを入れるべき分野も多いかもしれないが、就職する人にとっては間違いなく魅力となるだろう。

 







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