日本の行政機構

日本の行政機構、1府12省庁の姿が以下のようなものだ。

以下、各省解説はコトバンクより引用
スポンサーリンク

内閣官房

内閣総理大臣を直接補佐する,内閣の補助機関。内閣官房長官の下に内閣官房副長官(政務担当 2人,事務担当 1人)および内閣人事局長が置かれ,内閣官房副長官の下に国家安全保障局長,内閣危機管理監,内閣情報通信政策監,内閣総務官,内閣官房副長官補(3人),内閣広報官,内閣情報官,内閣サイバーセキュリティセンター長が置かれる。内閣人事局は国家公務員の人事行政や行政機関の機構・定員管理に関する事務などを担う。国家安全保障局は国家安全保障会議を恒常的に補佐し,安全保障政策の企画立案・調整などを行なう。内閣総務官室は閣議に付される案件の整理,内閣の主管に属する人事,首相官邸の管理運営などを行なう。内閣広報室は内閣の重要政策に関する広報や,首相官邸での報道対応などを担当する。内閣情報調査室は,政策に関する情報の収集,調査,分析や,特定秘密の保護に関する事務などを担う(→特定秘密の保護に関する法律)。また内閣情報調査室には,日本の安全確保や大規模災害などに関する画像情報を収集する内閣衛星情報センターが設置される。内閣サイバーセキュリティセンターは情報システムに対する不正活動の監視,分析などを行なっている。

内閣府

中央省庁等改革基本法により2001年1月に発足した中央行政機関で,首相を補佐する。総理府の本府,経済企画庁,沖縄開発庁,国土庁の防災局,金融再生委員会などを統合して新設。首相を長として内閣官房長官,同副長官(3人)も一翼を担い,その下に内閣府副大臣と政務官が各3人置かれる(ほかに特命担当大臣も置くことができる)。緊急事態への対応などのため,閣議における首相の発議権も内閣法に明記された。大臣官房,政策統括官,4局(賞勲局,男女共同参画局,国民生活局,沖縄振興局)と,外局として国家公安委員会,公正取引委員会,金融庁がある(宮内庁も内閣府に属する)。このほか,経済財政諮問会議(予算の基本方針を決定),総合科学技術会議,中央防災会議,男女共同参画会議が事務局として新設され,政策決定にたずさわる。

金融庁

旧金融監督庁。金融機関の検査・監督,証券市場の監視,金融制度に関する企画立案などを行なう行政機関。金融の機能の安定確保,預金者,保険契約者,有価証券の投資者などの保護,金融の円滑化などの役割を担う。 1997年6月金融行政の不透明性を解消するため,金融の検査・監督機能を大蔵省 (現財務省) から分離し,総理府外局として設置することを決めた金融監督庁設置法の成立を受けて,1998年6月 22日に金融監督庁として発足した。民間金融機関による自己査定や抜き打ち的検査などに頼っていた検査方法の効率化,早期是正措置の導入による経営破綻の早期予防体制の確立,破綻処理の3点が主要業務とされたが,信用秩序に著しい影響が生ずる場合の業務停止命令執行権は実質的に大蔵大臣にあるなど,大蔵省との役割分担が不明瞭な点を危惧する向きもあった。 1998年 12月金融再生委員会の発足に伴ってその傘下に置かれたが,2000年7月金融制度の企画立案を担ってきた大蔵省の金融企画局を統合し,金融庁として再発足,2001年1月の省庁再編により内閣府の外局となった。

デジタル庁

日本のデジタル社会づくりの司令塔である国の行政組織。菅義偉(すがよしひで)政権のきもいり政策として、デジタル庁設置法(令和3年法律第36号)に基づき、2021年(令和3)9月に発足した。新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)の拡大で露呈したデジタル行政の遅れを挽回(ばんかい)し、経済成長や利便性の高い行政サービスの提供につなげる役割がある。内閣直属の組織で、長は内閣総理大臣。補佐役としてデジタル大臣(内閣府特命担当国務大臣)、副大臣、大臣政務官を1人ずつ置く。事務方のトップはデジタル監で、一橋大学名誉教授の石倉洋子(1949― )が初のデジタル監に就いた。発足時の職員は600人規模で、うち約200人を民間から採用。戦略・組織グループ、デジタル社会共通機能グループ、国民向けサービスグループ、省庁業務サービスグループのほかに、デジタル社会推進会議などがある。内閣府、経済産業省、総務省などに分かれた霞が関(かすみがせき)の縦割り行政を打破するため、他省庁への勧告権限をもつ。これにより医療、教育、防災などのデジタル化を促す。省庁や地方自治体ごとにばらばらの情報システムを統一・標準化するよう、法律で義務化。マイナンバー制度も所管し、マイナンバーと金融機関口座を任意で紐(ひも)づけ、災害時や不況時などに迅速に国民に給付金を届けるプッシュ型支給を可能とする。押印や書面手続を規定している多くの法律を改正して「脱ハンコ」に取り組み、行政手続のオンライン化を進める。また、政府の情報システム関連予算を段階的にデジタル庁に集約・計上し、重要なシステムは自ら整備する。さらに、国、自治体、民間で異なる個人情報保護法制を一元化する。

総務省

総務省設置法によって設置された国の行政機関。2001年(平成13)1月の中央省庁再編に伴い、総務庁、自治省、郵政省が再編統合されて誕生した。同省は、内閣官房や内閣府と同様に内閣総理大臣の補佐機能を担う省であるとともに、国家行政組織法に定められた「国の行政組織」の一つであり、他の省と同格の位置づけを与えられている。

総務省は、行政の基本的な制度の管理および運営、地方自治の本旨の実現、自立的な地域社会の形成、国と地方公共団体相互間の連絡協調、情報の電磁的方式による円滑な流通の確保、電波の公平かつ能率的な利用の確保、郵政事業の適正かつ確実な実施の確保、公害に係る紛争の解決、他の行政機関の所掌に属しない行政事務、および法律で総務省に属させられた行政事務を遂行することなど、広範な任務を担う。

その所掌事務は、国家公務員に関する制度の企画・立案、中央人事行政機関たる内閣総理大臣の所掌する事務についての内閣総理大臣の補佐、行政機関の機構等に関する企画・立案および調整、政策評価に関する基本的事項の企画・立案、各府省の政策についての政策評価、各行政機関の業務の実施状況の評価・監視、地方自治および民主政治の普及、国と地方公共団体および地方公共団体相互間の連絡調整、地方自治に影響を及ぼす国の施策の企画・立案、地方公務員に関する制度の企画・立案、選挙制度に関する企画・立案、電気通信事業および放送業の改善および調整、郵政事業に関する事務、郵便貯金管理業務および簡易生命保険管理業務に関する事務、信書便事業の監督、消防行政に関する事務などである。

長は総務大臣であり、中央省庁再編に伴い、大臣のリーダーシップを補佐するものとして、総務副大臣、総務大臣政務官という特別の職が新たに設置された。内部部局には、大臣官房のほか、行政管理局、行政評価局、自治行政局、自治財政局、自治税務局、国際戦略局、情報流通行政局、総合通信基盤局、統計局、政策統括官(統計基準担当、恩給担当)が置かれている。外局には、公害等調整委員会、消防庁が置かれる。なお、外局として郵便、簡易生命保険、郵便貯金の郵政三事業の事業および業務を担っていた郵政事業庁は、2003年(平成15)4月1日発足の国営公社「日本郵政公社」に引き継がれ、さらに2007年10月1日郵政民営化に伴い日本郵政グループに移管された。

このほか、地方財政審議会、国地方係争処理委員会、情報通信審議会などの審議会等、自治大学校、情報通信政策研究所、統計研究研修所、消防大学校などの施設等機関、中央選挙管理会、政治資金適正化委員会、自治紛争処理委員などの特別の機関、管区行政評価局、沖縄行政評価事務所、総合通信局などの地方支分部局が置かれている。

法務省

検察,法務に関する国の行政事務を遂行する行政機関。国家行政組織法および法務省設置法による。検察,矯正,恩赦および更生保護,国の利害に関係のある訴訟,国籍,戸籍,登記,供託,人権擁護,出入国管理,難民認定,外国人の登録,破壊活動防止法による破壊的団体の規制,国際連合に協力して行う研修,研究,調査などに関する事務を司る。法務大臣を長とし,大臣官房および民事局,刑事局,矯正局,保護局,訟務局,人権擁護局,入国管理局の7局をおくほか,刑務所,少年刑務所,拘置所,少年院,少年鑑別所,婦人補導院,入国者収容所などの施設等機関,法制審議会などの審議会,地方支分部局として地方法務局,矯正管区,地方更生保護委員会,保護観察所,地方入国管理局,外局として司法試験管理委員会,公安審査委員会,公安調査庁が設置されている。また法務大臣の直轄機関として検察庁がある。

公安調査庁

国家行政組織法に基づき、公安調査庁設置法により法務省の外局として設置された国の行政機関。英語名称はPublic Security Intelligence Agencyで略称PSIA。1952年(昭和27)7月、破壊活動防止法の施行とともに設置。公安調査庁は、破壊活動防止法(昭和27年法律240号)に規定する破壊的団体の規制に関する調査と、公安審査委員会に対する処分の請求などをその権限とするように、破壊活動防止法を適用するための機関として設置された特別警察の一つである。公安調査庁には、長官などのほか、公安調査官などの職員が置かれる。内部部局として、総務部、調査第一部、調査第二部が、また施設等機関として公安調査庁研修所が、さらに地方支分部局として公安調査局(8局)および公安調査事務所(14所)が置かれている。うち公安調査官が破壊活動防止法にいう団体規制の調査に従事している。ただし、調査官には捜査権は付与されていない。

外務省

国家行政組織法に定められる国の行政機関。外交政策の企画立案・実施,通商航海に関する利益の保護・増進,外交政策上の経済協力,外交官・領事館の派遣・接受,条約その他の国際約束の締結,国際連合その他の国際機関との協力,国際会議への参加,外国に関する調査,内外事情の報道,外国との文化交流,海外における邦人の保護など,国の対外行政事務を司る。なお,その権限行使にあたっては,わが国の法令のみならず条約,確立された国際法規に従わなければならない。明治1 (1868) 年9月に設置された外国事務取調掛に始り,10月に外国事務局,11月に外国官を経て,1869年に外務省となった。組織・権限については外務省設置法 (昭和 26年法律 283号) で規定されている。外務大臣を長とし,内部部局として大臣官房およびアジア,北米,中南米,欧亜,中近東アフリカ,経済,経済協力,条約,総合外交政策,国際情報の 10局をおくほか,審議会として外務人事審議会,海外移住審議会,施設等機関として外務省研修所がある。また,外国において外務省の所掌事務を行うため在外公館がおかれている。

財務省

財務省設置法によって設置された国の行政機関。2001年(平成13)1月の中央省庁再編に伴い、大蔵省から金融行政を除く行政事務と権限を引き継いだ。

財務省は、健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現、税関業務の運営、国庫の管理、通貨に対する信頼の維持および外国為替(かわせ)の安定確保などを任務とする。その所掌事務には、国の予算、決算および会計に関する制度の企画・立案、国の予算および決算の作成、税制に関する企画・立案、国庫および通貨制度の企画・立案、財政投融資の企画・立案、国有財産等の監理、外国為替に関する制度の企画・立案、金融破綻(はたん)処理制度および金融危機管理に関する企画・立案などがある。財務省の組織については、その長は財務大臣であり、中央省庁再編に伴い、大臣のリーダーシップを補佐するものとして、財務副大臣、財務大臣政務官という特別の職が新たに設置された。内部部局として、大臣官房のほか、主計局、主税局、関税局、理財局、国際局が置かれている。施設等機関として、財務総合政策研究所、会計センターなどが置かれている。特別の機関として、造幣局、印刷局が置かれていたが、これらは2003年に独立行政法人となった。審議会等として、財政制度等審議会(旧財政制度審議会)などが、外局として国税庁が置かれている。

国税庁

国家行政組織法に基づき、財務省設置法18条により、財務省の外局として設置された国の行政機関。2001年(平成13)1月の中央省庁再編に伴い、旧大蔵省外局から財務省外局となった。国税庁は、財務省の任務や権限とされたもののうち、国税の賦課徴収を主たる任務・権限とし、加えて、税理士試験の実施、税理士会および日本税理士連合会の監督、酒類の製造業および販売業の免許、ならびに、これらを営む者、酒類業組合とその連合会などの監督等もその権限としている。

国税庁には、国税庁長官の下に、その内部部局として、長官官房のほか、課税部、徴収部および調査査察部が、特別の機関として、内国税に関する不服申立てを審査し裁決する国税不服審判所が置かれており、施設等機関として税務大学校、審議会等として国税審議会などがある。なお地方支分部局として11の国税局と沖縄国税事務所が置かれ、その下に税務署とその支署が置かれ実際の徴税事務が行われている。

文部科学省

文部科学省設置法によって設置された国の行政機関。2001年(平成13)1月の中央省庁再編に伴い、文部省と科学技術庁が再編統合して誕生した。

文部科学省は、教育の振興および生涯学習の推進を中核とした創造的な人材の育成、学術、スポーツおよび文化の振興、さらに科学技術の総合的な振興を図ることを任務とし、これらの事項および宗教に関する国の行政事務を一体的に遂行する責任を負っている。その所掌事務は、生涯学習、初等中等教育の振興に関する企画・立案、大学および高等専門学校における教育の振興に関する企画・立案、私立学校に関する行政の制度の企画・立案、外国人に対する日本語教育、科学技術に関する基本的政策の企画・立案、原子力政策のうち科学技術に関するもの、文化の振興・助成、劇場等の文化施設、著作権の保護・利用、宗教法人の規則等の認証等である。同省の組織としては、その長は文部科学大臣であり、中央省庁再編に伴い、大臣のリーダーシップを補佐するものとして、文部科学副大臣、文部科学大臣政務官という特別の職が新たに設置された。内部部局には大臣官房のほか、生涯学習政策局、初等中等教育局、高等教育局、科学技術・学術政策局、研究振興局、研究開発局、スポーツ・青少年局がある。中央教育審議会、大学設置・学校法人審議会、科学技術・学術審議会、原子力損害賠償紛争審査会などの審議会等がある。施設等機関として、国立教育政策研究所、科学技術・学術政策研究所がある。また、文部科学省の施設等機関であった国立大学は2004年4月から国立大学法人として法人化された。同時に国立歴史民俗博物館や国立天文台などの大学共同利用施設も独立法人となった。文部科学省の特別の機関として日本ユネスコ国内委員会、日本学士院、地震調査研究推進本部が、また外局として文化庁が置かれている。そのほか、文部科学省所管の独立行政法人として、国立青少年教育振興機構、日本学術振興会、国立科学博物館などがある。

厚生労働省

厚生労働省設置法によって設置された国の行政機関。2001年(平成13)1月の中央省庁再編に伴い、厚生省と労働省が再編統合されて誕生した。

厚生労働省は、国民生活の保障および向上、経済の発展への寄与、社会福祉、社会保障および公衆衛生の向上・増進、さらに労働条件その他の労働者の働く環境の整備や職業の確保を図ることに加え、引揚げ援護、戦傷病者、戦没者遺族、未帰還者留守家族等の援護および旧陸海軍の残務整理も任務としている。

その所掌事務は、社会保障制度に関する企画・立案、少子高齢社会への対応に関する関係行政機関の事務の調整、労働者の権利保障に関すること、人口政策に関すること、医薬品、医薬部外品等の品質および安全の確保に関すること、臓器移植に関すること、栄養士、調理師、理容師、美容師等に関すること、麻薬、大麻、あへんおよび覚醒(かくせい)剤等に関する取締り、労働条件・労働衛生に関すること、失業対策、雇用の機会の確保に関すること、育児または家族介護を行う労働者の福祉の増進、児童の福祉の向上に関すること、生活困窮者等に対する必要な保護に関すること、介護保険に関すること等、多岐にわたる。

厚生労働省の組織としては、その長は厚生労働大臣であり、大臣のリーダーシップを補佐するために政治的任用職である厚生労働副大臣、厚生労働大臣政務官が置かれている。内部部局は大臣官房のほかに医政局、健康局、医薬・生活衛生局、労働基準局、職業安定局、職業能力開発局、雇用均等・児童家庭局、社会・援護局、老健局、保険局、年金局で構成されており、政策統括官が置かれている。外局として中央労働委員会が置かれている。審議会等としては社会保障審議会、厚生科学審議会、労働政策審議会、医道審議会、薬事・食品衛生審議会等がある。施設等機関としては検疫所、国立ハンセン病療養所、国立社会保障・人口問題研究所、国立感染症研究所や国立更生援護機関等があり、地方支分部局として地方厚生(支)局や都道府県労働局が置かれている。厚生労働省所管の独立行政法人として、医薬基盤・健康・栄養研究所(国立研究開発法人)、高齢・障害・求職者雇用支援機構、地域医療機能推進機構、年金積立金管理運用独立行政法人等がある。また、同省所管の特殊法人として日本年金機構があり、同省所管の特別の法律により設立される民間法人(特別民間法人)として、建設業労働災害防止協会、中央職業能力開発協会、企業年金連合会等がある。

なお、社会保険庁が外局として設置されていたが、2009年に廃止された。

農林水産省

農林畜水産業の改良発達,農山漁家の福祉の増進および国民食糧の安定的供給をはかり,もって国民経済の興隆に寄与することを目的として,農業,林業,水産,畜産および食糧管理に関する行政を司る国の行政機関。1925年農商務省が農林省,商工省に分離して設置され,1943年に農商省,1945年に再び農林省となり,1978年農林水産省と改称された。国家行政組織法および農林水産省設置法を設置根拠とする。農林水産大臣を長とし,内部部局として大臣官房および総合食料局,消費・安全局,生産局,経営局,農村振興局の 5局を置くほか,食料・農業・農村政策審議会をはじめとする審議会,植物防疫所,動物検疫所などの施設等機関,特別の機関として農林水産技術会議がある。また,地方支分部局として七つの地方農政局と北海道統計情報事務所,外局として林野庁,水産庁を置く。

経済産業省

国家行政組織法に基づき、経済産業省設置法(平成11年法律第99号)によって設置された国の行政機関。長は、経済産業大臣。2001年(平成13)1月の中央省庁再編に伴い、通商産業省から経済産業省となった。

経済産業省は、民間の経済活力の向上および対外経済関係の円滑な発展を中心に経済および産業の発展を図ること、加えて、鉱物資源およびエネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保を図ることを任務とする。

この任務を達成するため、経済産業省がつかさどる事務は次のようなものである。経済構造改革の推進に関すること、民間の経済活力の向上を図る観点から必要な経済財政諮問会議において行われる経済全般の運営の基本方針の審議にかかわる企画および立案への参画に関し、所掌にかかわる政策の企画を行うこと、産業構造の改善に関すること、企業間関係その他の産業組織の改善に関すること、市場における経済取引にかかわる準則の整備に関すること、工業所有権(産業財産権)およびこれに類するものの保護および利用に関すること、民間における技術の開発にかかわる環境の整備に関すること、業種に普遍的な産業政策に関すること、産業立地に関すること、工業用水道事業の助成および監督に関すること、地域における商鉱工業一般の振興に関すること、通商に関する政策および手続に関すること、通商に関する協定または取決めの実施(通商経済上の経済協力にかかわるものを含む)に関すること、通商経済上の国際協力(経済協力を含む)に関すること、輸出および輸入の増進、改善および調整に関すること、通商政策上の関税に関する事務その他の関税に関する事務のうち所掌にかかわるものに関すること、通商に伴う外国為替(かわせ)の管理および調整に関すること、貿易保険に関すること、条約に基づいて日本国に駐留する外国軍隊、日本国に在留する外国人およびこれらに類する者に対する物資の供給および役務の提供に関すること(防衛省の所掌に属するものを除く)、鉱工業の科学技術に関する総合的な政策に関すること、工業標準の整備および普及その他の工業標準化に関すること、鉱物資源およびエネルギーに関する総合的な政策に関すること、省エネルギーおよび新エネルギーに関する政策に関すること、石油、可燃性天然ガス、石炭、亜炭その他の鉱物およびこれに類するものならびにこれらの製品の安定的かつ効率的な供給の確保に関すること、電源開発に関する基本的な政策の企画および立案ならびに推進に関すること、エネルギーに関する原子力政策に関すること、弁理士に関すること、中小企業庁設置法(昭和23年法律第83号)第4条に規定する事務、所掌事務にかかわる国際協力に関すること、等である。

また、経済産業大臣は、塩の輸出および輸入の基本的事項については財務大臣と、米麦その他の主要食糧および飼料の輸出および輸入の基本的事項については農林水産大臣と協議しなければならない。これら多岐にわたる事務は、その多くが通商産業省の事務を引き継いだものであるが、旧科学技術庁が有していた、原子力の安全についての業務が新たに加わっている(研究分野は、文部科学省)。

経済産業大臣を長とする、この省の組織の概要は次のようなものである。

内部部局として、大臣官房のほか、経済産業政策局、通商政策局、貿易経済協力局、産業技術環境局、製造産業局、商務情報政策局の1官房6局体制となった。審議会等としては、産業構造審議会、消費経済審議会、日本工業標準調査会、計量行政審議会、輸出入取引審議会、化学物質審議会、総合資源エネルギー調査会、中央鉱山保安協議会、工業所有権審議会、中小企業政策審議会、国立研究開発法人審議会、電力・ガス取引監視等委員会、調達価格等算定委員会が置かれている(2017年8月)。地方支分部局として経済産業局、産業保安監督部等、施設等機関として経済産業研修所がある。また外局として、資源エネルギー庁、特許庁、中小企業庁が置かれている。

なお、同省所管の特殊法人として、日本貿易保険、日本アルコール産業、商工組合中央金庫、また独立行政法人として、経済産業研究所(旧、通商産業研究所)、工業所有権情報・研修館(旧、工業所有権総合情報館)、産業技術総合研究所(国立研究開発法人。旧、工業技術院および計量教習所)、製品評価技術基盤機構(旧、製品評価技術センター)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(国立研究開発法人)、日本貿易振興機構、情報処理推進機構、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、中小企業基盤整備機構がある。

国土交通省

国土交通省設置法によって設置された国の行政機関。2001年(平成13)1月の中央省庁再編に伴い、建設省、運輸省、国土庁、北海道開発庁の4省庁が再編統合され、誕生した。その後、2008年に大幅な組織改編を行っている。

国土交通省は、国土の総合的かつ体系的な利用、開発および保全、そのための社会資本の整合的な整備のほか、交通政策の推進、気象業務の健全な発達、ならびに海上の安全や治安の確保を図ることをその任務とする。その所掌事務としては、国土計画、国土利用、社会資本の整備、総合的な交通体系の整備、土地の使用・収用、都市計画・都市計画事業、下水道、河川・海岸・道路等の整備保全、治水・利水、砂防、住宅の供給・建設、居住環境の整備、鉄道等の整備やその安全確保、船舶の安全確保、航空機の安全確保、官公庁施設の整備、港湾の整備利用、気象業務等がある。

国土交通省の組織としては、その長は国土交通大臣であり、大臣のリーダーシップを補佐するために、国土交通副大臣、国土交通大臣政務官が置かれている。

内部部局等として、大臣官房のほかに、総合政策局、国土政策局、土地・建設産業局、都市局、水管理・国土保全局、道路局、住宅局、鉄道局、自動車局、海事局、港湾局、航空局、北海道局、政策統括官、国際統括官がある。

施設等機関としては、国土交通政策研究所、国土技術政策総合研究所、航空保安大学校および国土交通大学校がある。

また、特別の機関としては国土地理院、小笠原総合事務所および海難審判所がある。

外局としては気象庁、海上保安庁が置かれ、さらに2008年10月には、2006年に成立した観光立国推進基本法に基づき「観光立国」の実現に関する施策を推進するために観光政策課などを再編した観光庁が、また航空・鉄道事故調査委員会と海難審判庁が再編統合された運輸安全委員会がそれぞれ設置された。この組織改編に伴い、海難審判庁が担っていた船舶事故の原因究明機能は運輸安全委員会が引き継ぎ、海難審判庁にかわり設置された海難審判所が、海難審判による懲戒処分を行うことになった。なお、外局として置かれていた船員中央労働委員会は、2008年9月30日に廃止され、集団的労使紛争処理機能が中央労働委員会に移管された。

このほか、国土審議会、社会資本整備審議会、交通政策審議会、運輸審議会、国立研究開発法人審議会等の審議会等、地方整備局、北海道開発局、地方運輸局、地方航空局、航空交通管制部の地方支分部局が置かれている。

国土交通省所管の独立行政法人として、土木研究所、建築研究所、海上・港湾・航空技術研究所(ここまでの3機関は国立研究開発法人に位置づけられる)、航空大学校、自動車技術総合機構、鉄道建設・運輸施設整備支援機構、自動車事故対策機構、日本高速道路保有・債務返済機構等がある。

また同省所管の特殊法人として、東日本高速道路株式会社、首都高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、阪神高速道路株式会社および本州四国連絡高速道路株式会社、新関西国際空港株式会社、北海道、四国の各旅客鉄道会社等がある。

さらに、同省所管の特別の法律により設立される民間法人(特別民間法人)として、軽自動車検査協会と日本小型船舶検査機構等がある。

海上保安庁

海上保安庁法(昭和23年法律28号)に基づき、海上において、人名・財産を保護し、法律の違反を予防・操作・鎮圧するために、運輸省(現国土交通省)の外局として設置された。長として海上保安庁長官が置かれる。法令の海上における励行、海難救助、海洋汚染の防止、海上における犯罪の予防・鎮圧、犯人の捜査・逮捕、船舶交通に関する規制、水路・航路標識に関する事務、その他海上の安全の確保に関する事務などをつかさどる。職員たる海上保安官は上官の命を受けてこれらの事務をつかさどり、海上保安官補がこれを助ける。職員の人事管理は、国家公務員法の定めるところによる。全国および沿岸水域は海上保安管区に分けられ、それぞれ管区海上保安本部が置かれ所掌事務を分掌する。国土交通大臣は、管区海上保安本部の事務の一部を分掌させるため、海上保安監部その他の事務所を置くことができる。

環境省

国家行政組織法に基づき、環境省設置法により設置された国の行政機関。2001年(平成13)1月の中央省庁再編に伴い、環境庁が省に格上げされて環境省になった。

環境庁は、1971年(昭和46)7月に旧総理府の外局として設立された。主たる任務は、公害の防止、自然環境の保護および整備、その他環境の保全を図り、国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するため、環境の保全に関する行政を総合的に推進することにあった(環境庁設置法3条)。このような任務を達成するために、内部部局として、長官官房のほか、企画調整局、自然保護局、大気保全局、水質保全局が置かれ、審議会等として、中央公害対策審議会、公害健康被害補償不服審査会、自然環境保全審議会などがあり、施設等機関に国立公害研究所(1990年に国立環境研究所と改称)などが置かれた。環境庁長官には国務大臣があてられていた。

環境庁を引き継いだ環境省の任務は、地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護および整備その他の環境の保全を図ることである。環境庁時代と大筋では変わらないが、地球環境保全が新たに加えられた。これにより、同省は、地球環境保全を考慮に入れて、国内の環境政策を企画・立案することが求められることになる。所掌事務については具体的には、地球環境保全に関する政策の企画・立案、公害防止のための規制、自然公園の保護・整備、景勝地等の整備、野生動植物の種の保存、自然環境の保全がある。これに、これまで旧厚生省が行っていた廃棄物対策が新たに加わった(環境省大臣官房に設けられた廃棄物・リサイクル対策部が担当)。このように、環境省の任務として、地球環境保全が新たに加えられ、さらに循環型社会形成にかかわる廃棄物・リサイクルに関する事務を担うこととなったことから、従来に比べて環境行政を総合的に推進することが可能となったとはいえる。このほかに、オゾン層の保護、海洋汚染の防止、工場の立地規制、公害防止施設の整備、森林および緑地の保全、化学物質の申請および製造等の規制、化学物質の管理、資源の再利用の促進、河川および湖沼の保全、環境影響評価などに関するものについての事務および事業に関する規制、指針、方針、計画に関することが所掌事務となっている。これらについては、環境大臣が経済産業大臣などと共同して意思決定をすることが求められているものや、環境大臣が意思決定するにあたり、国土交通大臣などとの協議が求められているものがあり、他方で、他の省庁の所掌事務についても、環境保全に関する事務および事業が含まれる場合には、環境大臣と共同して意思決定をすることが求められるものもある。これらのものについては、環境省が省庁横断的な調整機能を発揮することが求められよう。

環境省の組織については、その長は環境大臣であり、中央省庁再編に伴い、大臣のリーダーシップを補佐するものとして、環境副大臣、環境大臣政務官という特別の職が新たに設置された。2017年8月時点では、内部部局として環境再生・資源循環局、水・大気環境局などがあり、審議会等として中央環境審議会、公害健康被害補償不服審査会などが置かれている。また外局として原子力規制委員会、施設等機関として環境調査研修所、国立水俣病総合研究センターなどが置かれている。なお、環境省所管の独立行政法人として国立環境研究所(国立研究開発法人)、環境再生保全機構がある。

防衛省

日本の防衛を所管する国の行政機関。前身の防衛庁を引き継いで,日本の平和と独立を守り,国の安全を保つことを目的とし,このために三つの自衛隊 (陸上自衛隊,海上自衛隊,航空自衛隊 ) の管理,運営,およびこれに関する事務を行なう。 2006年 12月,省への昇格のための防衛庁設置法等の一部を改正する法律が成立,2007年1月9日防衛省が発足した。それまで防衛庁は自衛隊を管理する内閣府の外局だったが,独立した 11番目の省として政策官庁に衣替えした。防衛省の長は防衛大臣で,自衛隊を含む防衛省すべてを統括する。初代防衛大臣には久間章生が就任。省に昇格してもシビリアン・コントロールの立場から,自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣 (首相) に変わりなく,防衛出動や治安出動は首相が命令する。防衛大臣が命令できるのは警備行動までとなる。省昇格を機に,それまで防衛庁の付随的任務とされた国際連合の平和維持活動(PKO)など自衛隊の国際平和協力業務が本来任務となった。また防衛施設庁は 2007年9月に廃止,防衛省に統合された。

防衛装備庁

2015年10月、防衛省の外局として新しく設置された庁。これまで3機関(陸・海・空自衛隊)に分散されていた武器装備品の研究開発、調達、補給及び管理を一元管理することで、防衛力の強化やコスト削減などの効率化を目指す。職員は約1800人(うち約400人が自衛官)。「装備政策部」「プロジェクト管理部」「技術戦略部」「調達管理部」「調達事業部」の5部門が設けられている。初代長官には、防衛省技術研究本部長・渡辺秀明が就任した。安倍晋三内閣は14年4月、武器輸出を原則禁じた「武器輸出三原則」を見直し、各種制限を取り払った原則解禁の「防衛装備移転三原則」を閣議決定している。これに基づき、政府は海外への武器・防衛技術の輸出拡大、欧米軍事企業との共同研究・生産の拡大等を見込んでおり、同庁新設に伴う国内産業への経済波及効果も期待している様子。防衛装備庁の予算規模は約1兆6千億円(関連調達分を含めると約2兆円)で、防衛予算全体の3分の1以上を占める。
経済・産業界からは歓迎の声が多いが、歯止めのない武器製造・輸出の拡大による「軍産複合体」の形成を心配する声もある。また、旧防衛庁時代の07年には、事務次官の汚職事件が起こっており、製造業者との癒着や不正、天下りなども懸念されている。20人規模からなる監察・監査評価官の組織が新設されたが、権限が集中する同庁だけに、厳格な監視・チェック体制と徹底した透明性の確保が課題となる。






コメント

タイトルとURLをコピーしました