地政学

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近年「地政学」が一種の流行りのようになっている。しかし今のご時世と裏腹に、数年以上前までは地政学はほとんど関心を持たれない分野だった。第二次大戦以降、「戦争につながる学問」とされて、特に敗戦国ではタブー視される風潮があったのだ。

しかしロシアのウクライナ侵攻、中国の台頭などもあって、地政学が注目を集めやすい世相になっている。

地政学は地図を見ながら国と国の勢力図を読み解く学問だ。日本でいうと明治時代に、アメリカのマハンという軍人が、シーパワーやランドパワーという概念を提唱し、イギリスのマッキンダーという学者はマハンの主張を継承しながら、ハートランドという概念を提唱した。その後アメリカのスパイクマンという学者によってリムランドという概念が提唱された。

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バランス・オブ・パワー

地政学の重要な概念の中には、「政治思想」の項でも紹介している「バランス・オブ・パワー」がある。バランス・オブ・パワーとは、日本語にすると勢力均衡。突出した強国を作らず、勢力を同等にして秩序を保つという国際関係のメカニズム。この概念を操るのが得意だったと言われるのがイギリスで、島国の自国が負の影響を受けないように、ヨーロッパ大陸を各国の均衡状態にとどめるべく、外交で各国をコントロールしていたなどと言われる。

チョーク・ポイント

「チョーク・ポイント」も重要な概念。これは海上の関所のことであり、ある国が貿易を円滑に進めるうえで絶対に避けて通れないポイントのことだ。日本にとってもいくつものチョーク・ポイントがあり、石油を輸入するときに絶対に通る中東の「ホルムズ海峡」、タンカーが東南アジアを通過するときに通る「マラッカ海峡」などだ。逆にどこかの国にここを差し押さえられたら、日本は国家運営が難しくなる。

ランドパワー・シーパワー

上記で紹介した「ランドパワー」と「シーパワー」は特に地政学の代表的概念。「ランドパワー」とはユーラシア大陸にある大陸国家で、「シーパワー」とは国境の多くを海に囲まれた海洋国家のことである。大きな国境紛争は、常にランドパワーとシーパワーのせめぎ合いだと言われる。「ランドパワーとシーパワーは両立できない」とも言われる。古くは、ローマ帝国はランドパワーの大国だったが、海洋進出をして国力が低下し、崩壊。また、日本の敗戦も太平洋の支配に加え、中国内陸部への進出をもくろみ、シーとランドの両立を目指して失敗したと地政学では考える。

ハートランド・リムランド

「ハートランド」と「リムランド」も重要概念。ハートランドとは文字通りユーラシア大陸の心臓部で、現在のロシアの辺り。慣例で雨量が少なく、平坦な平野が多い。一方リムランドはユーラシア大陸の海岸線に沿った沿岸部で、温暖で雨量が多く、経済活動が盛んなエリア。他国に影響力を持つにはリムランドの支配が重要。リムランドは「ハートランドのランドパワー」と「周辺のシーパワー」という勢力同士の国際紛争が起こる場所だと考えられる。

拠点

相手をコントロールするのに、もう一つ重要なのが、足掛かりとして「拠点」をつくること。あるエリアをコントロールするには、その付近に拠点を作り、レーダーで監視をしたり、軍隊を駐屯するなどして影響力を保持する。
例えば、沖縄の米軍基地は、主に中国や北朝鮮に影響力を持つための拠点であり、横須賀の基地は、主に太平洋対策の拠点。ほかにも米軍は、インド洋のディエゴ・ガルシア島や、ドイツのラムシュタインなどにも大規模な拠点を展開し、対抗勢力であるイランやロシアを監視している。

参照、引用元:
「サクッとわかるビジネス教養 地政学」奥山真司 新星出版社







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