ドーマー条件
財政の持続可能性とはズバリ昨今の経済評論家たちを賑わせている「日本はいつまで借金を続けられるの?」「日本はどれだけ借金をしてもいいの?」という話である。
これを考えるのにピッタリ都合のいいドーマー条件という公式があるのだが、なぜか経済学界でもマニアック理論扱いされてる?らしい。マニアックといっても簡単な公式なので、高校の数学がまあまあ中くらいは理解できますよ、という学生さん以上のレベルの方ならスンナリ理解できるはずだ(別に数学苦手な人でも理解できるかもしれない汗)。
まず、今年の公的債務は、次のように表現できる。
(今年の債務)(去年の債務) (金利) (プライマリーバランス)
D1= D0 + D0× r + PB ・・・①
ここにPBは、今年の政府支出の赤字額(ただし利払いを除く)
つまり、今年の債務は、去年の債務に、金利払い分と、
一方、今年の名目GDPは、
(今年の名目GDP)(去年の名目GDP) (名目GDPの成長率)
Y1= Y0 × (1+g) ・・・②
となる(つまり、今年の名目GDPは、
以上のように定式化すると、「債務対GDP比(名目)」は、
「債務対GDP比(名目)」=①÷②
=D1/Y1=D0(1+r)/Y0(1+g) + PB/Y1 ・・・③
ここで仮にプライマリーバランスの赤字がなくなり均衡しているという状況(PB=0)が実現したとすれば、③式は次のようになる。
D1/Y1=D0(1+r)/Y0(1+g) ・・・④
④式から、今年の国債残高・GDP比率が去年の国債残高・GDP比率よりも大きくならないための条件は
(1+r)/(1+g)≦ 1 ・・・⑤
であることが分かる。逆に言えば、もしも⑤式という条件が満たされているのであれば、プライマリーバランスさえ回復させることができれば、今年の国債残高・GDP比率が去年の国債残高・GDP比率よりも小さくなる。
(1+r)/(1+g)≦ 1 は g≧r
だから要するに、プライマリーバランスさえ回復させれば、名目経済成長率が金利に等しいか、若しくは高くなれば、財政赤字・GDP比率の発散を防ぐことができる。
・・・・・というのが表向きのドーマー条件の解説なのだが、これには一部の経済評論家から疑義が出ている。
上記の説明はたぶん公式の見た目をスッキリさせるためにPB=0の過程を途中に挟んでいるのであって、必ずしもPB=0でなくとも、
D1/Y1 ≦ D0(1+r)/Y0(1+g) + PB/Y1
が成り立つ可能性があることは分かるだろう。だから必ずしもPB=0にする必要はない、というのが一部の論者の指摘だ。
(以上、新経世済民新聞を一部修正・竹中平蔵「闘う経済学」から引用)
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