「国会」!!というとどんなことが思いつくだろう?
衆議院インターネット審議中継
憲法第41条で
国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。
と書かれており、その「最高性」も保障されているはずだが、あまりいいイメージを持っている人は多くないかもしれない。昔から「国会の会議中に居眠りしてるあの議員はなんだ!」という批判もあるし、口汚いヤジもしょっちゅう飛び交う。野党議員の与党に対する追及は、揚げ足取り、ヒステリーじみて見えることもある。
実は一般の人のイメージだけでなく、プロの政治評論家や学者たちにとっても、日本の国会は長所よりも短所の方が目に付くようだ。
国会の問題点というと、一般的に以下のようなものが挙げられている。
・事前審査制
・常任委員会
・会期不継続原則
一つ一つ見ていこう。
事前審査制
与党の事前審査制は客観的に見れば問題のように見えるが、自民党にとっては最強のしくみと言えるかもしれない。
発端は、池田勇人政権時代の1962年2月23日に赤城宗徳自民党総務会長が政府(大平正芳内閣官房長官)に対して「法案提出の場合は閣議決定に先だって総務会に連絡を願いたい」という文書を出したことだったと言われる。特に予算の審議を伴う法案の場合、国会に法案を提出した後、野党の追及などで議論が紛糾して、予算の大幅な修正が必要となった場合、大蔵省は会期中に予算の編成し直しの膨大な作業が発生してしまうのだ。それをどうしても避けたかった、等と言われる。
しかしこれが発端となって始まった与党内の事前審査は精緻な仕組みとして発展してゆき、政務調査会部会→政調審議会→総務会という段階を踏んで与党内の審議が進んでいく。実質的な審議は最初の部会であるとされる。ここには与党の国会議員だけでなく、官僚も参加するのである。そしてここがいわゆる族議員の最大の活躍し所ともなっている。もし自分の利害関係のある業界の要望が、関連法案に十分反映されていなかったとしたら、ここの議論でゴリ押しして要求を入れてしまうのだ。
そして最終段階では法案は全会一致を取ることになっており、逆に反対議員が一人でもいればその法案は国会に出せないことになる。そして全会一致だからこそ、与党は国会審議において、党議拘束をかけることができるのである。
上記の事前審査制のしくみはすべて、法律に明記されたものではない。政界の常識になっているとはいえ、あくまでもインフォーマル体制なのだ。実質的な審議をここで済ませることにより、国会の形骸化の大きな原因となっている。
常任委員会
国会に提出された法案は、ただちに所管の委員会に付託される。議員はいずれか一つの委員会の委員にならなければならない。委員会審査は提案者による提案理由の説明に始まり、次いで提案者に対する一問一答形式の質疑が行われる。重要な議案については、利害関係者や学識経験者の意見を聞くための公聴会を開くこともできる。質疑に続いて各会派を代表する議員が賛否の討論を行い、討論終結後、採決となる。表決の結果、可否同数で合った場合には、委員長が決裁権を行使する。審査が終わると、委員会は報告書を作成し、議長に報告する。
委員会審査を終了した議案は本会議の議事日程に記載され、委員長による審査経過および結果の報告から本会議の審議が開始される。
つまり、委員会審査を終わらなければ本会議は始められないのである。委員会で実質的な審議はほとんど終わっているので、本会議は法案の全体を再確認し合うための儀式のようになっている。
問題
上記の流れは法案の中でも内閣提出法案の流れを追ったものだが、実質的な審議は与党事前審査、そして常任委員会でほぼ終了している。本会議は最終確認のセレモニーになっている。これがまさに国会の形骸化である。
常任委員会はそもそも、アメリカ議会のしくみを、戦後GHQがすすめて取り入れたものだそうだ。つまり議員立法の盛んなアメリカの議会で、議員の立法活動を補佐するためのしくみとして委員会は発展してきたのである。それをそのまま日本の国会に接ぎ木してしまったものだから、国会は議院内閣制の観点から見てもある意味中途半端な形態になっているのである。ちなみに、国立国会図書館も、もともとは議員立法を補佐するための仕組みだ。
参照、引用元(以下このページだけでなく国会のサブカテゴリの参照文献も含む):