健康保険を管理・監督するのは、全国健康保険協会または健康保険組合である。これを保険者という。
①全国健康保険協会の場合
全国健康保険協会が保険者となっている場合の健康保険を全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)という。保険者である協会は、被保険者の保険料を適用事業所ごとに徴収したり、被保険者や被扶養者に対して必要な社会保険給付を行ったりする。窓口は全国健康保険協会の都道府県支部になる。しかし、現在では各都道府県の年金事務所の窓口でも申請書類等を預かってもらえる。
②健康保険組合の場合
健康保険組合が管掌する場合の健康保険を組合管掌健康保険という。組合管掌健康保険の場合、実務上の事務手続きの窓口は健康保険組合の事務所になる。組合管掌健康保険に加入している事業所は年金事務所に届出などを提出することができない。
健康保険の給付内容
被扶養者の範囲
健康保険の被保険者が配偶者や子どもなどの家族を養っている場合、その家族のことを「養われている者」ということで、被扶養者と呼ぶ。健康保険では被保険者の被扶養者についても被保険者と同じように保険の給付を受けることができる。
健康保険において被扶養者になる人は、おもに被保険者に生計を維持されている者。生計を維持されているかどうかの大まかな基準は、被扶養者の年収が130万円未満(60歳以上の者と障碍者については180万円未満)で、被保険者の年収の半分未満であるかどうか。
被保険者の被扶養者となることができる親族については、あらかじめ範囲が決まっており、それ以外の者はたとえ現実に扶養されている場合であっても健康保険の被扶養者となることができない。
療養費と一部負担金
健康保険では、病気やケガなどの保険事故に対して、療養という形で現物給付するのが原則。しかし、保険者が療養の給付が困難であると認めたときや、被保険者が保健医療機関・保険薬局以外の医療機関・薬局で診療や調剤を受けたことにつきやむを得ないと認められたときは、療養費として現金が給付される。
療養の給付にかかった費用のうちの自己負担分を一部負担金という。一部負担金の割合は、①義務教育就学前の者:2割、②義務教育就学後70歳未満の者:3割、③70歳~74歳:2割(現役並みの所得がある者は3割)である。
参照、引用元:
「ちょっと気になる医療と介護」権丈 善一 勁草書房
「図解で早わかり 最新 医療保険・年金・介護保険のしくみ」森島 大吾 三修社