社会保障総論
社会保障制度(社会保険)の大きな柱は年金、医療、介護である。「子育て」も大きいでしょ!という意見もあろうが、制度の歴史上、また財政のウエイト上、そうなっている。(念のため、もっと正確な言い方をすれば、日本の社会保険は医療保険・年金保険・雇用保険・労働者災害補償保険・介護保険の5つの柱で構成されている)
社会保障の問題というのは・・・厚生労働省の官僚に語らせれば、制度上の細かい問題を山ほど挙げてもらえると思うが、ザックリ言えば財政の問題がほとんどである。
厚生労働省HPより
「財政」の項目にも一般会計の予算規模のグラフを掲げているが、令和4年度の一般会計予算の33%、36兆円の社会保障費は、これだけでも十分巨額であるものの、全体の社会保障費の一部に過ぎない。2022年の社会保障総額131兆円というデータがあるので、これと比較すれば公費の支出割合は27%ということになる。社会保障費の27%前後は税金から補填されており、それが一般会計予算に反映されているが、それ以外は主に保険料収入で成り立っているということである。
保険料収入の収入/支出の全体像はどうなっているの?というとそれが「特別会計」というやつである。特別会計は一般会計の倍にも迫る規模があるものの、一般会計のような見やすい資料はほぼどこにも掲載されていない。この会計の透明性がイマイチなところが、幾多のジャーナリスト、政治家たちに「特別会計は怪しい」と言わせてきたゆえんである。
ともかく、平成31年度で特別会計の重複を除いた純計額は197兆円とのことである。その中でも特に大きなものはまさに「年金」であるが、他にも外国為替資金、財政投融資などが含まれている。
参照 ウィキペディア「特別会計」
年金に関しては2004年に基礎年金の国庫負担割合を1/2にする法案が通っており、年金財政全体からするとおおよそ1/4程度が公費で成り立っている(税金が投入されている)と言える。
医療費に関しては令和元年のデータで公費の割合は約38%とのことである。
介護に関しては約50%は公費とのことである。
日本の社会保障は保険料方式をベースに設計されているはずだが、近年になって財源の問題がクローズアップされ、税金の投入がズルズルと拡大している、というのは重要なポイントであろう。
参照文献(以下、このページだけでなく社会保障の章全般にわたって):