社会保障総論2

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社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生

前ページでは社会保険の柱について書いたが、さらに社会保障のそもそも論を言うと・・・

社会権の3本柱は「生存権」、「教育を受ける権利」、「勤労の権利と労働基本権(労働三権)」である。この3本柱の一つ「生存権」(憲法25条)の理念を具体化するものが社会保障制度で、社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生の4本の柱から構成されている。

社会保険は「もしものとき」に備える保険だが、社会保険だけでは生活することが難しい場合も当然ある。そこで憲法第25条の生存権「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」を保障するために、生活困窮者に対してお金の援助を行っていくのが公的扶助だ。公的扶助はつまり「生活保護」のことである。昨今は「怠けて生活している連中に税金から生活保護費用をダラダラ支払い続けるのはけしからん」的な言説も増えているようだが、生活保護の給付費は社会保障給付費の3%程度である。それで生存権を保障できるのだから、あってしかるべき制度と言えるのではないだろうか。

しかしお金の援助だけでは生活することが難しいケースもある。お金だけでなく、児童扶養施設や老人ホームなどの現物(モノ)の援助も絶対に必要になる。その場合に、モノの援助などを行うのが社会福祉だ。

伝染病などを防いで、国民の健康と安全を守るのが公衆衛生だ。

1959年に国民年金法が制定されたことにより、1958年に制定された国民健康保険法と合わせ、誰もが何かしらの保険や年金に入ることができる国民皆保険・国民皆年金が1961年に実現した。今では財源不安論など様々な問題が指摘されがちな社会保障制度だが、戦後のこの時期に国民皆保険・国民皆年金を実現させたことは、当時の政治家、政府の偉業と評価されなければならない、というのが社会保障専門家たちのおおむね一致した見方である。




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