核のしくみ

核兵器と原発の「核」の濃縮度がどのくらい異なるか、ご存じだろうか?

まず「核」といっても様々な同位体がある中で、使い物になるのはウラン235だけだ。原子力発電所の燃料棒は、ウラン235が3~5%程度含まれているだけなのに対し、原子爆弾の燃料はほぼ100%がウラン235になっている。

天然のウラン鉱石の成分内訳としてはウラン238が99.3%、ウラン235が0.7%と、使い物になるウラン235は微量しか含まれていない。だからこそ少しでもウラン235を抽出し、ウラン235の塊を作る作業、すなわち「濃縮」の作業が必要となる。気化してから分離する方法をとるが、ウラン鉱石をそのまま気化しようと思ったら数千度の熱が必要となる。そこでウラン金属をフッ素と化合させ、6フッ化ウラン(UF6)という沸点の低い物質を作ってから濃縮作業を進める(6フッ化ウランはおよそ57℃で気化する)。メジャーな濃縮方法としては遠心分離法があり、遠心分離機の中で6フッ化ウランを高速回転させると質量の大きいウラン238は壁側に集まり、軽いウラン235は軸側に集まるので集まったウラン235を取り出すというものだ。


エネ百科HPより


ウィキペディア「ウラン濃縮」より 
遠心分離法。水色の丸はウラン235、青色の丸はウラン238

ただし上記のウラン235がほぼ100%の原子爆弾というのはいわゆる広島型原爆のことであり、現在の核保有国は長崎型、プルトニウム型の核兵器を保有するというのが主流になっているらしい。ウラン235よりもプルトニウム239の方が少ない量で臨界に達する、というのがその理由のようだ。天然ウランに大量に含まれているウラン238が中性子放射を受けるとプルトニウム239に変換される。ただし、中性子放射の過程でプルトニウム240という同位体も生産され、これは扱いが難しく、これが大量に含まれ過ぎていると、原発燃料としても核兵器としても使えないということだ。

参照文献:

「知っておきたい原子力発電(図解雑学) 」竹田 敏一 ナツメ社





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