衆議院と参議院

衆議院と参議院、つまり日本の国会の二院制の体制のことを、みなさんはどんな風にイメージされているだろうか?

衆議院と参議院、二つもあると同じ議論をこっちでもあっちでも繰り返して効率が悪い、一院制にしてしまえ、という議論もある。ただ、あまりに一部の勢力の意見だけで急進的な法案が通る可能性があるのは、国家の意思決定としては性急すぎるという考え方から、民衆の代表としての性格が強い下院(衆議院)の上に「熟慮の府」として上院(参議院)が設置されている。

かつて参議院は衆議院のカーボンコピーと揶揄されたこともあったが、実は参議院の権限はかなり強力である。憲法は法律案、予算、および条約の議決について衆議院の優越を認めており、とくに予算と条約に関しては、両院の意見が一致しないときに衆議院の議決を国会の議決とすることが規定されている(憲法60条、61条)。しかし、法律案の場合にはあくまで両議院で議決して法律となるのが原則で、例外的に、衆議院で出席議員の3分の2以上で再議決したときに限って法律と認められるのである(59条)。出席議員の3分の2というのは簡単に乗り越えられる数字ではない。つまり、衆議員が参議院に優越していることは確かなのだが、現実の国会運営においては、衆議員には参議院の反対を押し切って法案を可決する権限はない、ということになる。

また、衆議員には解散(憲法69条、7条)があるが、参議院には解散がない。特に7条解散は実質的には内閣総理大臣の意思で解散できるため、「伝家の秘宝」とも言われる。しかし参議院議員は少なくとも、この解散による失職を恐れる必要は全くないのである。






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