23年8月 - シャドウキャビネット

23．8.22
23．8.23

23．8.22

8月分の朝生を録画で見ました。

まず目に付くのはパネリストの中の岩田温さんですね。声がデカくて物言いが攻撃的！田原さんにとってはあまり相手にしたくない論客だろうに、こういう人をわざわざ呼ぶところが番組として強かだな～といたく感心しました。この人がバンバン強烈な意見を言ってくれるおかげで、議論というか場の雰囲気がイヤでも盛り上がります。たぶん田原さん本人が彼を番組に呼んだんでしょうが、やっぱりこの辺のセンスはジャーナリストとしてというか、テレビ人として天才的な嗅覚だな～と思いました。

岩田さんは保守(真正保守？)ということですが、個人的には、心配したほど極端な意見は言っていないな～という印象。それどころか、「若い人を特攻で死に追いやった幹部軍人を、戦後も栄達させた自衛隊はけしからん！」等と、かなり真っ当な意見を言っているように見えました。この人は自衛隊を大事にしたい立場だろうに、ちゃんとテーマに対しては是々非々で挑む、というスタンスができているようです。

ただ、パッと見面白い議論というのを別にすれば、個人的には石山アンジュさんという方が一番マトモな意見を言っているように見えました。

「年長世代の論客が政治思想の対立のバトルばかりやっていると、若い世代は醒めてしまう。もっと建設的な議論をした方がいいのでは」

「政党と政党を政治思想でクッキリ分けて、『あなたはどの政党を支持するの！？』といった議論をやるよりも、『政策』にフォーカスした議論をやりたい。『Aの政策ならA党を支持するけど、Bの政策ならB党を支持したい』ということだってあるはずだ」

このへんのドライな感覚は、いかにも若い世代らしいなと思いました。若い世代というか、世代と関係なく言っていることはいたってまともにも聞こえます。やはり時代が下るにつれて、人の考え方は少しずつ進歩していくものなんでしょうか・・・（オッサン世代の私としては、『政治思想を度外視する』なんて、それを言っちゃあお終いよ…こういう番組が面白くなくなっちゃうじゃんよ…等とつまらない感想も一瞬抱いてしまいましたが…）

全体的に、「こういう番組に出てくる論客はさすがだな」と感心させられる内容でしたが、ちょっと気になるところがあるとすれば、戦争を話題にするのであれば、パネリストの中に軍事の専門家を増やした方がいいと思います。森本さんがいましたが、あと1人、2人くらいは軍事の専門家がいてもいいのではないか？現役の防衛省職員はこういう所に出演しにくいかもしれませんが、OBならいくらでも発言できるのではないでしょうか？

防衛費を5年間で43兆円に増額する、というニュースがしばらく飛び交いましたが、純粋な増額分はおそらく16兆円ぐらいのはずです。ちなみにこれは防衛費の対GDP比で約1.5%になっているはずで、よく言われる2％には全然届いていないはずなのです。「一気に2％に持って行かなくていいの？」というのも気になるところです。とにかく、その増額分の16兆円の中身は何なの？大勢の国民から見て、マトモだと思えるほどの使途が決まっているの？あるいは軍事専門家から見て、マトモだと思えるほどの使途が決まっているの？という所がすごく気になるのです。もちろん、あまり軍事費の内訳を明らかにしすぎると周辺国に対して手の内をさらけ出すリスクというのもあるでしょう。ただ、大まかなポイントだけは解説してもらってもいいのではないか？と思うのです。その辺、スラスラと解説してくれそうな専門家を、こういう回には増やした方がいいのではないか？と思いました。

ミサイル防衛が現状で本当に有効に機能しているのか？PAC3等と言いますが、それこそ世界中のパトリオットやアイアンドームを購入するとか、対北朝鮮の防衛システムとして、もっと充実させるべき分野はないのか？あるいは地下シェルターをもっと増やさなくていいのか？ずっと問題視されている自衛隊の宿舎は改善される予定なのか？トマホークを買った報道もあったが、もっと他にも、攻撃型兵器を増やさなくていいのか？

気になることは無数にあります。石山アンジュさんの言い草じゃないですが、政治思想の論争はほどほどにして、軍事実務的なことを多くの日本人も多少は覚えるべき時代に、差し掛かっていると考えるべきではないでしょうか？