相続税

相続税はいきなり説明すると長くなりすぎてしまうので、図解を見てもらった方がいいだろう。

日本の相続税制度は、相続人その他の者が取得した財産の価額を課税物件とする遺産取得課税方式を基礎としながらも、これに、被相続人の遺産額を課税物件とする遺産課税方式を加味したものとなっている。

まず相続財産から非課税になるものを除き、相続税法上、相続財産と見なされる財産と相続開始前3年以内に行われた贈与財産を加算する。被相続人が負担している債務を控除して合計課税価格が分かったら、ここから基礎控除額を控除するのである。課税対象となる遺産総額から基礎控除を控除するので、遺産税的な性格となっている。基礎控除は3000万円+法定相続人×600万円である。

基礎控除額を引いても残額があるときは、これが課税遺産総額となる。ここからが「法定相続分課税方式」となる。まず、この課税遺産総額を各相続人が法定相続分通り取得したと仮定する。その法定相続分どおり取得した各相続人の取得額に以下に示す税率が乗じられる。税率は超過累進税率である。

こうして計算された各相続人の相続税額を合計する。仮にこの合計額が1億円だったとすると、これを各相続人の実際の取得割合、例えば配偶者10分の5、長男10分の3、長女10分の2というように分担する。

まず遺産税方式自体が矛盾をはらんでいると言われる。

例えば次のケース・・・

Aさんは遺産5億円のうち、他の相続人に遠慮して自分は3000万円だけ相続した。

Bさんは遺産1億5千万円を5人で均等に相続し、3000万円を相続した。

Cさんは他の相続人に相続放棄してもらい、遺産3000万円を一人で相続した。

一番遠慮したのはAさんだが、遺産額自体が大きいのでAさんの相続税が一番重く、次にBさんで、Cさんには相続税はかからない、というのが日本の相続税制度なのである。

遺産税の性格を取り除き、遺産取得税方式を徹底させるべきではないか、という議論もある。

参照、引用元:
「日本の税金」三木 義一 岩波新書

「図説 日本の税制」藤井大輔 木原大策 財経詳報社






コメント

タイトルとURLをコピーしました