財政投融資

2001年から財政投融資のしくみが大きく変わった。かつての財政投融資は国民から預かった年金積立金や郵便貯金資金などを大蔵省資金運用部に預託する仕組みで、預託された資金は特殊法人などで運用され、社会資本の整備、中小企業への支援など高度成長期を支える要因にもなった。しかし、その特殊法人が天下り先となったり、非効率な運営を行ったりしたため、2001年に財政投融資は大改革された。資金運用部に預託する仕組みは廃止され、郵貯などの資金は一般の金融市場で自主運用する仕組みに変更された。そのため財投機関(特殊法人や独立行政法人など)が資金を必要とする場合には、一般の金融市場で財投機関債という債権を発行し、原則自己調達するようになった。

 

 

 

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財政投融資よもやま話

これは政治ウォッチャーの間ではもはや「常識」のような話だが、小泉政権の郵政民営化の裏では、財政投融資利権をめぐる駆け引きがあったと、まことしやかに言われている。

かつて郵政大臣を経験した田中角栄は郵政のポストを通じて財政投融資を恣意的に采配するポジションを手に入れたと言われる。つまり「あそこの企業にうまくお金をつけてやれ」などと、好き勝手に財政投融資の融資案件に口を挟める権利を、田中派が持っていたということだ。田中派の巨大なパワーの最たるものがこの財政投融資利権だったとも言われる。田中派を受け継いだ竹下登率いる経世会も当然ながらこれを受け継いだ。しかし自民党の他派閥が、当然ながら一派閥の突出した権力を面白く思うはずがない。特に小泉純一郎氏は経世会の強すぎる影響力を目の敵にしていたと言われる。

そこで郵政民営化という旗を掲げて、国鉄の民営化の延長線上の、公営企業の合理化政策のような体裁をとりながら、経世会の財政投融資利権を潰しにかかったというのだ。ただし郵政民営化政策が本格化する前に、上記の財政投融資の市場運用化は始まっており、郵政民営化が財政投融資に強い影響を与えたとは言えない、という説もある。ただ長い目で見れば小泉政権の間に経世会が弱体化させられたことは間違いないだろう。当然ながら、経世会に代わって強力なパワーとして自民党の前面に躍り出たのは、小泉氏率いる清和会だった。それは安倍長期政権までつながる。



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