24年4月

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24.4.24 玉木雄一郎さんの講演会

政経学修会主催の、玉木雄一郎さんの講演会に行ってきました!国民民主党代表の玉木雄一郎さんです。

やはり政党の代表というだけあって、圧巻の、スケールの大きいお話でした。

まず西郷隆盛の政治思想の紹介。西郷さんは政治の根本を、「学問と武力と農業」と捉えていたのだそうです。今風に言えば、「教育と軍備と産業」ということでしょうか。これは玉木さんの考えとほとんど一致するのだそうです。

論点は多岐にわたるので、箇条書き風に講演の内容を書いていきたいと思います。

・政治家はいい仕事。上司がいない。本気でやろうと思えば、やりたいことはほとんどやれる。実現できる。名刺を出せば、たいていの人は会ってくれる。当選回数が多い議員の方が上の立場に付けるチャンスが増えるのだから、若い人は早く政治家になった方がいい。

・エネルギー自給率の問題を深刻に考えるべき。日本は原子力も再生エネルギーも使っているが、それらは国のエネルギーの10%ちょっとにすぎない。ここ数年、エネルギーの90%近くは火力発電に頼っているのであり、その原資は中東から運ばれる石油である。一方でアメリカは、国内でシェールガスが出ることもあり、エネルギーの100%以上を国内で賄えている。つまり、エネルギーを完全に自給できているということだ。ここ数年以上にわたって、アメリカは中東への関与を減らしているとも言われる。これは、エネルギーを中東の石油に頼らずに済むということも大きい。ここはアメリカと日本の、利害が一致しないところだ。日本は、中東諸国との関係を無碍にすることはできない。

近年、世界中で数10基の原発が新設されているが、そのほとんどは中国とロシアのものである。一方で日本では、原子力技術者もどんどん減っているような現状。このままでは、将来の日本は、原子力技術もエネルギーの供給も、中国やロシアに頼るハメになるかもしれない。口でいくらキレイごとを言っても、エネルギーを賄えない国の意見を、周りの国は真剣に聞いてくれないだろう。

・日本は電気代が高すぎるから何とかしないといけない。そのためには、もっと原発を再稼働させたっていい。今、東日本と西日本の間では大きな電気代格差が生じている。東日本の人は、西日本の人の1.4倍くらいの電気代を払っている。西日本がなんで電気代が安いかというと、原発がそれだけ多く稼働しているからだ。TSMCが熊本に来たのも、1つの理由は、西日本の方が電気代が安いからだ。

・日本の経済力は格段に落ちている。ここ20年の間、GDPが全く成長していないどころか微減になっている国は、先進諸国の中でほぼ日本だけである。特に韓国のGDP成長率は日本の2.5倍に近い。

・中国は経済力の成長に合わせるようにして、軍事費を飛躍的に膨張させている。日本が防衛予算をGDPの2%まで伸ばしても、中国の軍事予算の半分にも満たないくらいだ。一応、世界の軍事費のトップは依然としてアメリカだが、東アジア限定で考えると、アメリカの軍事力は中国に負けているとも言われる。AUKUS、QUAD等の、多国間の枠組みで、これからは東アジアの安全保障を考えていくべきだろう。

・中国の科学技術予算や論文数は今や、他国を圧倒している。日本ももっと、それら分野に予算配分を重点化させなければならない。科学技術振興や教育には、もっと国債を発行して予算を充ててもいいと思っている。日本は借金が多いというが、借金を急に減らさないといけないという決まりはない。借り換え、借り換えをスムーズに続けて、利払いが急に膨らまないように、うまくコントロールすればいいのだ。

・防衛予算を増やすために増税が必要だ、少子化対策予算をねん出するために保険料の増額が必要だ、等と政府は言っているが、外為特会の運用益を予算に繰り入れれば、そのぐらいの必要な予算はそこからねん出できる。予算はそうやって、もっと柔軟に考えたっていい。

・日本の教育文化は依然として画一的な側面が大きく、子どもの才能を伸ばそうという発想が弱い。天才的な子ども、いわゆるギフテッドの支援もやっているが、ギフテッドの子に「日本の教育の何を変えたらいい?」と聞いたら、「前にならえ」を止めた方がいいと言われた。これはある意味、日本の教育の問題点の本質を突いている。学生たちがことあるごとにキチンと整列することによって、学生たちは無意識のうちに、周りの学生と同じように勉強した方がいい、同じような振る舞いをした方がい、と思っているのではないか。無意識のうちに、「個性を伸ばそう」という発想が抑えられているのではないか。学生が集まるときも、本当は円を描くように、あるいはバラバラな形のまま集まってもいいはずだ。

・この国の社会福祉政策には、所得制限のついて回るものが多すぎる。障がい者政策など、現場の障がい者の親御さんからはこんな声が聞こえてくる。「障がい者の息子(娘)のために私は一生懸命働いている。この子に残せるのはお金だけだ。しかし働きすぎて収入が上がってしまうと、あなたの世帯には十分な所得があるから政府からの補助は必要ないですね、と見なされて、補助金カットされてしまう。こんな理不尽なことはない」。だから、所得制限関係なしで実施できる社会福祉政策を、もっと増やすべきだ。

・政治思想はよく「右」と「左」の対立、等と言われるが、現実の政治はそんなもんじゃない。一番の正解は、概ね、右でも左でもない、真ん中に近い所にあるものだ。極端に右や左に走るではなく、現実的な解を慎重に求めて、面白くない結論に至るかもしれないけど、真ん中のちょうどいいところの政策を探り当てるべきだ。

24.4.28 4月分の朝生を視聴

4月26日深夜に放送された「朝まで生テレビ」を、ビデオ録画の再生で視聴しました。今回の朝生は文句なしで面白かった!ちょっとネットで動画がどこかに落ちているかどうか分かりませんが、気になる方はぜひ探して見てみてください。

テーマは今年のアメリカ大統領選の行方・・・つまりはバイデンが勝つか?トランプが勝つか?ということだったんですが、テーマが大きいだけに議論は大白熱です。いや~賢人を集めて議論する際のテーマは、このぐらい大ぶろしきを広げてほしいものです。

まず意外だったのですが、パネリストのご意見を伺うと、「トランプが勝った方が日本にとっていいかもしれない」という意見が案外多かったのです。議論を盛り上げるために事前に「俺はそういう意見を言うから」と打ち合わせでもしたんじゃないか?と勘繰ってしまうほど、意見がバラけたんですね(汗) それはつまり、トランプが勝つと、アメリカはあまり日本の面倒を見ずに、日本は国際社会に放り出される可能性がある。その方が日本にとっては強い刺激になって、自分の国の国防のことや、自分の国の経済をどうやって強くするか、考え出すんじゃないか?という、トランプ大統領に対して一種の政治的な劇薬を期待する意見が、一部にあるようでした。また、トランプは国際社会におけるマルチの枠組みが嫌いで、バイのやり取りが好き。つまり、多国間のルールは嫌いで、1対1での取引を好むということです。すると、トランプはアメリカと中国で徹底的に中国をけん制する外交を始めるだろうから、だから日本にとってはトランプの方がいいかもしれない、という意見もありました。

一方で、トランプはパリ協定の離脱とか、国際間で決めたルール、方向性をいとも簡単に無視してしまう傾向が強い。移民とか、非白人に対して差別的な言動も多い。これだと、国際社会で協調的な体制が取れない。また、進歩的な方向性を目指そうよ、という機運も遠ざかってしまうかもしれない。それを心配して、バイデン大統領になった方がまだマシだ、という意見も、反対側には多いようでした。

ただ、民主党も共和党も、イスラエルを強硬に軍事支援しているように見える。アメリカの若者をはじめ、世界中の若者の間で、イスラエルのパレスチナ侵攻を止めさせろ!という声が大きくなっているのも事実。一方で、アメリカは、イランやヒズボラからの対イスラエル攻撃に対する、防衛手段をイスラエルに提供しているだけであって、アメリカはイスラエルの侵攻作戦を助長させたいわけではない、という国際政治のリアリズム的見方もある。

民主党にしても共和党にしても、ワシントンを中心とした連邦政府の政策は、アメリカの国民の大多数を豊かにすることに失敗している、という見方がある。豊かになったのは一部の大企業のサラリーマン、IT企業の成功者、あるいはウォール街の金融マンなど、アメリカ社会のごく一部の階層だけだ。貧しい人はたくさんいるのに、それに対する援助はないがしろにされ、ワシントンでは各種のロビー団体が大金をやり取りし合う、利権政治がはびこっているだけだ。政府は全体的に、国民の福利厚生の向上に失敗しているように見えるが、その中でもトランプという政治家だけは、ワシントンの意向に関わらず、国民の経済力を回復させようとしているように見える。だからこそ、そう見るアメリカ国民たちにとっては、トランプは救世主のように見える。数々の裁判に巻き込まれていることも、敵対勢力の陰謀にトランプが巻き込まれて、トランプはそれらと果敢に戦っているようにしか、支持者の目には映っていない。だから、トランプ支持者のアメリカ国民と、民主党支持者のアメリカ国民はあたかも全く別の世界を見ているような状況になってしまっていて、アメリカの分断は進んでいると言える。

経済面を見ると、90年代以降、アメリカは積極的にグローバル化を進めた。その原動力はIT化だった(私的には、「金融」の力も大きかったと思います)。日本はIT化を上手く進められなかったので、経済成長が停滞してしまったが、他の先進諸国の大企業はグローバリズムによって、生産を低コストの国に割り振り、膨大な利益を得てきた。しかし、ここにきて、中国やロシアをはじめ、強権的な国々と経済的取引を続けるのは危険だという認識が広まり、グローバリズムよりもむしろ、経済安全保障を重視する考え方が流行りのようになっている。世界はデカップリングが進んでいると言える。

グローバル化の限界を乗り越えるためには、SDGsの考え方も重要。持続可能な社会を作るという発想の上に立って、環境も、経済も、社会も、すべて持続可能な形で発展させようと思えば、例えば発展途上国の搾取的なビジネスによって、先進国では低価格なモノが手に入るかもしれないけど、搾取的なビジネスに乗っかろうというのではなく、あえて途上国にちゃんと正当な対価を得てもらおうと思えば、むしろ、ちゃんとしたルートで生産されたもう少し高い商品を買う、という選択肢もありうる(エシカル消費)。

ウクライナやガザの戦争をどうやって止めるのか?今すぐ止めたら、ウクライナに不利な形で、ロシアに大きく領土を取られた形で停戦ラインを引かざるを得ない。それは避けたいから、もっとウクライナを支援して、ロシアを少しでも押し戻すべく、もうしばらく戦争を続けざるを得ないだろう・・・といったリアリズムの議論も多くありました。私はむしろ、そういう議論がメインになるかな?と思っていたのですが、パレスチナ人のことを考えて、戦争を早くやめるべきだ!とか、SDGsの概念をもっと広げるべきだ!という、ある種リベラルの方向性にグッと寄り添ったような意見がポンポン出てきたのは、若者の感覚にとっては当たり前なのかもしれませんが、私の目から見たら新鮮で、とても感動的に映りました。

 

 

 

 

 

 

 

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