日銀の組織

日本銀行を一般の株式会社になぞらえれば、政策委員会が取締役であり、そのメンバーである委員は社外取締役。委員は国民という株主の代表だ。

政策委員会のメンバーの互選で選ばれる議長が、会社で言えば取締役会議長つまり社長だ。日銀は黒田東彦氏が議長。

日銀の政策委員会は、日銀の最高意思決定機関。金融政策の方針を決めるとともに、日本銀行という会社の運営も監督する。

政策委員会のメンバーは、日銀の総裁、副総裁2人の計3人と、外部から6人の審議委員の計9人。多数決で方針が決められるように、わざと奇数にしてある。メンバーは決定にあたって全員一票を持ち、平等な立場だ。国会の同意を得て内閣によって任命される。任期は5年。政府の方針と考え方が違うからと言って解任されることはない。

政策委員会の下には次の図の様な各局が存在している。

(日銀HPより)

発券局では日銀券に関する事務のすべてを担当している。お札の出し入れ、偽札鑑定も、ここの仕事だ。

決済機構局も日銀ならではの組織。金融機関の資金のやり取りである決済がスムーズに進むようなシステムを整備したり、今後のあり方を検討したりしている。

金融機構局は信用秩序の維持に関する仕事。金融機関の信用が損なわれないような対策を考える。各金融機関が日銀に開設している当座預金を担当しているのも、ここだ。

金融市場局は、金利調節の具体的な手段を定めたり、外国為替を担当したりしている。

業務局は、日銀が金利調節をするための実際の業務を担当する。国債や各種債権、手形などの売買や貸し出しなどの仕事をしている。

調査統計局は、国内の経済や財政の調査をするとともに、統計資料を集めている。

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日銀の独立性

1998年4月から施行された新しい日本銀行法の特徴は、独立性と透明性だ。法律にはこう書いてある。

「第3条 日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない。

2 日本銀行は、通貨及び金融の調節に関する意思決定の内容及び過程を国民に明らかにするよう努めなければならない」

法律の表現としては「自主性」と書いてあるが、要するに政府から独立して判断できるということだ。ところがその一方で、こんな条文もある。

「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。」(第4条)

例えば政府が景気をよくするための経済政策を打ち出しているのに、日銀が別の判断をして、金利水準の引き上げに動くような整合性の取れないことはするな、と戒めているのだ。

日銀の自主性は尊重するが、政府とよく意思を通じなさいというわけで、日銀の置かれた微妙な立場を表現している。

参照、引用元:
「日銀を知れば経済がわかる」池上彰 平凡社新書




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